第5の習慣 ◯◯◯もらえることを常に考える

7つの習慣 喜んでもらう

身体で汗をかかずに、脳みそで汗をかけ!

第4の習慣では『ありがとうを循環させる』という話を書きました。

この第5の習慣は、『ありがとうを循環させる』ために大切な習慣になります。

 

先生は、喉を枯らして声を張り上げ、体を張るのが仕事?

いいえ、違います!

汗をかくのは身体ではではなく、脳みそです。

 

とにかく考えること。

これが仕事であり、志事です。

学級担任として、一番の仕事は『仕組みをつくること』でした。

その『仕組み』を動かす原動力となるのは『ありがとう』のもつエネルギーです。

 

とにかく考えること。

では、何を考えればいいのでしょうか。

これが第5の習慣です。

 

それは『喜んでもらえることを常に考えること』です。

子どもたちとの関係、保護者との関係、同僚との関係を爆発的に加速させる習慣です。

 

喜んでもらえることをすると、仕事は楽しくなる♪

だれかに喜んでもらえると、人間はフローになります。

よく、「ありがとう」という言葉をどんどん使おうというお話を耳にします。

感謝して生きる、それはとっても大切なこと。

 

だけど、思う。

「ありがとう」って言うのも大切だけど、「ありがとう」って言われることはもっと大事。

僕は、そう考えています。

 

「先生、ありがとうございます」

って言われると、ホントにこの仕事を選んでよかったなって思うのです。

 

2年経って…

あれは、中2の保護者会でした。保護者30人ぐらいが車座になって座り、これからの学級運営の方針を語り合うという会です。

 

一人のお母さんが言いました。

「この先生は、ひどい先生なんです!」

その後、僕がいかにひどい教師であるかを延々と述べました。

「ウチの子は、髪を染めてもいないのに、茶髪を直してこい!なんて言うんですよ」

 

穏やかな保護者会は一転、紛糾しました。

「それはひどい!」

「何を考えているのか!」

 

実はその子、しっかりとした茶髪でした。根元が黒くなり、周囲は茶髪。いわゆるプリンの状態でした。

 

お母さんは言います。

「思春期になると髪の色が変わるんです」

 

教師になりたての僕には判断がつきません。

「思春期になると髪の色が変わる」

そんなサイヤ人みたいなことが起こるのか?

 

しかし、集団の心理というものは恐ろしいもの、みんな口々に「そうよね」「あるよね」という空気。

「男の先生にはわからないでしょうけど、生理のときは髪の色が変わるんです」

ホントですか?

ホントですか?

もう、完全にパニックでしたね。

 

ちなみに4月、掃除をしながら、その子とおしゃべりしていたんです。

「もうだいぶ(髪が)伸びてきてプリンみたいになってきたなぁ」

「うん」

「また、先輩とかに目をつけられてもいけないから、ちゃんとしておいでよ」

「う〜ん」

その子は1年生のとき、そんな髪型で先輩から何度か呼び出されるような女の子でした。

すごく頑固な子で、いわゆるトラブルメイカーでもありました。

 

さて、保護者会が続くこと30分。

途中から弁明するのも面倒くさくなって、じっ〜っと黙っていました。

心を無にしてミスターポポになってました。

あっ⁉︎わかります?

 

こうして、生涯でもっとも悲惨な保護者会が終わりました。

 

ところが、それから2年後の春。

彼女は卒業の日を迎えます。

3年生では、僕のクラスではなかった彼女。

300人を超える生徒がいた学年でしたから、その後の進路はあまり気にしていませんでした。

 

卒業式後、子どもたちを送り出す公園は卒業生と在校生でごった返していました。

そこへお母さんがやってきます。

「先生のおかげで、娘は自分の夢に向かってがんばることに決めました。ありがとうございました」と言うのです。

その後、職員室へ戻ると進路の資料に目を通し、彼女の進路を探しました。

なんと、関東の方にある女優になる学校(?)を選んでいたのです。

 

「え〜っ…」

 

僕の中では、「保護者会を炎上させたお母さん」でした。

保護者会以降2年間、僕の中ではず〜っとそんな印象のままでした。

けれど、卒業式の日、僕の印象は変わりました。

 

「ありがとう」って言われるとやっぱりうれしい。

感謝されると、人間はフローになります。

なんだかよくわからないけど、「よかったなぁ」って思いました。

 

たぶんこれが、保護者から感謝された最初の出来事のような気がします。

もう担任でもない僕のところへ、そのお母さんはわざわざ探してやってきてくださったのです。

 

学年の職員だけでも10数人、子どもたちは卒業生だけでも300人越え。

それに、在校生も加わりますから、探すのも大変です。

それでも、わざわざ探してお礼を言ってくださったのです。

 

これほど、うれしいことはありません。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 感謝されるとフローになるから、喜んでもらえることを探していく。

 

子どもたちに愛され、保護者に応援されるための7つの習慣

 第1の習慣 ブレない自分基準をもつ

 第2の習慣 感情と向き合う

 第3の習慣 仕組みをつくって、子どもに手放す

 第4の習慣 教室にありがとうを循環させる

 第5の習慣 喜んでもらえることを常に考える

 第6の習慣 出会う人すべてを◯◯する

 第7の習慣 圧倒的に◯◯

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。