子どもの心のファシリテーターになろう

教育相談 悩み

ある女の子の悩み

彼女はいつも一人で本を読み、
寂しそうにしていたんです。

そんな子、
どこの教室にも一人くらいはいますよね。

その子は、
外国籍の女の子でした。

 

僕は、そっと声をかけました。

「学校、どう?」

 

「つまらないです。
 家の方が楽しいです」

彼女は片言の日本語で答えました。

 

「家で何してるの?」

「…、家で本を読んだり、
 (母国の友達と)チャットしたり」

 

彼女は読んでいた本を閉じると、
僕の方に向きを変えました。

「先生、学校、楽しくないです」

「そう。どうして楽しくないの?」

 

「話す友だちがいないです」

「そうなんだね。話したいんだね」

 

「私、日本語が下手だから」

「下手だから?」

 

「日本語が下手だから、
 話す相手がいません」

「そうなんだね。
 日本語が上手になったら、
 話す友だちはできそう?」

 

「はい…」

「それって本当?」

 

「いや…、違うかも」

「そうだね。
 今、こうやって先生ともお話できてるもんね。
 じゃあ、どうしてお話ができないんだと思う?」

 

「話題がありません」

「そうか…、話題がないんだね。
 どんな話題で話がしたいの?」

 

「本の話とかしたいです」

「うん、すればいいじゃん」

 

「でも、同じ本を読んでる子、いません」

「そうか…、日本語の本じゃ難しいもんね。
 海外にも日本にもある物語もあるよ」

 

「そうなんですか?」

「うん!そういう本、
 学級文庫に入れてみようか」

「はい」


「アニメは見る?」

「アニメ、見ます」

 

「じゃあ、アニメの話をするのはどう?」

 「何を見てるかわかりません」

「じゃあさ、
 どうしたら、
 それがわかると思う?」

 

「聞く?」

「そうだね。
 アニメ好きの子に聞けばわかるね。

 じゃあ、
 あなたが学校を楽しくするために
 できるはじめの一歩は何ですか?」

 

「アニメの好きな子に、
 何を見てるか聞いてみる」

「いいね。
 じゃあ、
 まずそれやってみようね」

 

心の中の言葉を引き出す

答えはいつもその子の中に眠っています。

いかにして、
それを引き出すか。

先生は、
子どもの心の声を引き出す
ファシリテーターでありたい。

 

問いを投げかけ、
導き出してあげればいいの。

受け止めて、信じて、手放す。

 ただそれだけのことなのです。

 

こういうことにセンスは要りません。

 

ハッピーな子どもを育てる大人になるためのしつもん

  子どもに言葉を引き出すためにできることは何だろう?

 

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くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。