タブレット育児を真っ向から否定する【後編】


単語で会話をする子ども

 

僕が教育現場で年々感じていったのは、人の表情や態度から気持ちを推察する力の衰えだった。

社会はこれだけ空気を読む文化になっているのだが、教室では案外「読めた方がいい空気」が読めなくて苦労することがあった。

 

 

小さい頃から小型ゲーム機にのめり込んでいる子の中には、「相手の気持ちを察する」ということが苦手な子が多くいた。

僕は研究者ではないから、その因果関係はわからないけれど。

 

 

ちょうど携帯電話が普及したとき、片目だけが極端に悪い女子生徒が増えて驚いたことがある。

まあ、そんな感じ。

 

 

スマホやタブレットによる育児は一方的に情報を与えられ続ける環境である。

そこにコール&レスポンスはない。

 

 

「ポンキッキ作戦」や「おかあさんといっしょ作戦」との大きな違いは、親子で共通項を持たないことにある。

大画面のテレビで見ていれば、そこに共通項が生まれ、会話が生まれる。

だが、小さなタブレットやスマホでは、そういうことは起きない。

 

 

結果、子どもは子どもだけの世界で、情報のシャワーを浴び続けることになる。

 

 

以前、ある小学校の校長先生とお話したとき

「最近の1年生は、ちゃんと伝えることができないんです。単語で会話をするというか、『先生、これ』みたいな」

なんて話を聞きました。

 

 

「コマンド」で会話するって言うんですかね。

 

 

子ども:「ノート」

先生:「ノートが何?」

子ども:「忘れた」

先生:「家に忘れたの?」

子ども:「違う」

先生:「じゃあ、どうしたの?」

子ども:「宿題」

先生:「宿題を書いてくるの忘れたの?」

子ども:「そう」

先生:「じゃあ、明日持っておいでね」

子ども:「違う」

先生:「何が違うの?」

子ども:「私じゃない」

先生:「じゃあ、だれ?」

子ども:「友だち」

 

みたいな感じ。

そういう子、増えてるみたいです。

 

 

全部が全部じゃないですよ。

ただ肌感覚として、そういう子が増えてるという例えですからね。

 

 

 

ちなみに、小学校1年生が生まれた時期は、スマホやタブレットが出現した年と重なります。

なお、僕は研究者ではないので、因果関係はわかりません。

ただ単に、「俺はそう思うよ」ってことを発表しているに過ぎません。

 

 

結局、誰が語るか

日々現場にいると、子どもたちの変化ってのには敏感になります。

子ども、変わったもんな。

マジで変わった。

 

 

ってなわけで、タブレット育児を勧めている人が、いったい何歳の子どもと何人ぐらい出会ってきてのご意見かは知りませんが。

とりあえず、3000人以上の子どもたちと出会ってきた僕の経験から言わせていただくと、「ありえね〜な!」って話なわけです。

 

 

子育てのことなんて、誰だって語れる。

けどさ、僕は子育てのことを語る自信はないな。

だって、たかだが中学生、小学生、幼稚園児の3人の子どもしか育ててね〜んだもん。

語れね〜よ。

 

 

たださ、16年間で思春期の子どもを3000人以上出会ってくるとさ、スマホの普及で学校現場って一気に変わったんだよね。

生徒指導が難しくなったもん。

 

 

そういう経験で語らせてもらいました。

そんな私の子育て講座が、今度山形県山形市であります。

参加を希望される方はこちらにメールをお願いします。

15yell.yamagata@gmail.com(←コピペしてね♡)

 

子育てに迷ったときに出会いたい100の言葉

子どもとどんな時間を過ごしますか?

 

タブレット育児を真っ向から否定する【前編】はこちらです。

 

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。