「学校に行かないなんてズルい!」と言われるあなたへ

あなたの中の「こうでなければならない」は何ですか?

好き嫌いの話を書いた。

実はこれ、学校の話にも当てはまるんだよね。

 

 

意味もなく学校を休むと「ズル休み」と表現される。

学校に行かないことは「ズルいこと」、というのが子どもの認識だ。

 

 

この言葉を耳にするたび、

「学校に行くことって罰ゲームなのか?」

と思ってしまう。

 

 

できれば行きたくない場所であり、行かずにすむならばそうしたい。

けれど、行かなければならない。

そうだ!

あいつは休んでばかり。

ズルいぞ!

ずる休みだ!

 

そんな空気感がある。

 

 

ときおり修学旅行や野外学習、遠足だけ参加するという子がいる。

すると、やっぱり子どもたちの中には、「そんなのズルいぞ」という空気感が漂う。

 

 

まあ、気持ちはわからんでもないよね。

そういう行事って、コツコツと事前学習を積み上げてきて、ようやくこぎつけるわけだから。

「なんかズルくない?」って気持ちも、わからんでもない。

 

 

だから、そういうのって担任の先生の腕が試される。

「いいですよ。修学旅行だけでもおいでよ」って言えて、学級の子もすんなり受け入れてくれる体制を整えられる担任の先生は、一流だと思う。

 

 

まあ、そのぐらい「ズルい」って感覚は扱いが難しいのだ。

 

 

で、ここで話題にしたいのは、この「ズルい」の生み出す空気感である。

 

 

食べ物の好き嫌いに話を戻そう。

たとえば、玉ねぎが嫌いな子がいる。

「何で玉ねぎが嫌いなの?こんなに美味しいのにぃ」

なんて言う。

 

 

学校に置き換えると、こうなる。

「何で学校が嫌いなの?こんなに楽しいのにぃ」

となる。

 

 

でも、その空気の裏には「ズルいぞ」があるわけ。

「俺だって嫌いな物を食べてるんだ。お前も我慢して食えよ」的な空気だね。

 

 

で、大人は野菜嫌いの子どもにいろんな工夫をして、野菜を食べさせようと奮闘する。

 

「これで人参が食べられるようになりました♡」

とか言って喜んでる。

 

 

子供の感想が秀逸だ。

「なんかこれ、人参じゃないみたい♡」

 

 

それは「人参」が食べられるようになったわけではなく、「人参じゃないみたい」だから食べられたんだよ。

 

 

「修学旅行だけは行けた」ってのも同じだよね。

「普段の学校じゃないみたい♡」だから行けたわけ。

 

 

それがきっかけで登校できる子もいるし、やっぱできない子もいる。

「人参」と同じだよ。

その「人参じゃないみたい」という料理がきっかけで、人参が食べられるようになる子もいるし、食べられないままの子もいる。

 

 

それでいいじゃない?

 

 

ズルくなんかないぞ!

 

 

まあ、「ズルいぞ、お前も我慢しろよ」的な空気感を打ち消すならば、学校側が最高に楽しい空間を創造する必要があるよね。

スイーツ化しなきゃね。

 

 

「学校は辛い場所だから、お前も我慢して来いよ」ではなく「学校は楽しい場所だから休むなんてもったいないよ」って場所にしなきゃね。

 

 

まあ、でもさ、好き嫌いってあるよ。

あってもいいじゃない?

 

 

嫌いな食べ物に「何で嫌いなの?」と聞いても、まったく意味がないように、「何で学校が嫌いなの?」と聞くことにも意味はない。

嫌いなものは嫌いだ。

それでいいじゃない?

 

 

 

子育てに迷ったときに出逢いたい100のしつもん

あなたの中の「こうでなければならない」は何ですか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。