「好き」を大切にする

空飛ぶ子ども

小学生のオービルとウィルバーは、小さな修理屋さんでした。

彼らの住む街の修理屋さんの仕事ぶりを見て学んだ二人は、自宅の壊れかけたオーブンを見よう見まねで修理してしまいます。

 

 

お母さんは大喜び。

それを聞いたお父さんは、彼らに自分の大工道具を使うことを許しました。

こうして家中の壊れた物を修理して回る小さな修理屋さんになりました。

 

 

ある雪の日。

みんなでそり遊びをしていたのですが、二人のそりはなかなか上手に滑りません。

「空気抵抗が少ない方がいい」という話をお母さんから聞かされた二人は、さっそく「そり」の改造に乗り出します。

果たして、二人は街一番の「そり」を作り上げたのでした。

 

 

以来、古いオンボロの手押し車を修理してリヤカーを作ったり、印刷機を自作して新聞屋さんを始めたりと大忙し。

それから、自転車を作って自転車レースに出たり。

とにかく大忙しでした。

 

 

 

オービル・ライトとウィルバー・ライト。

彼らを人は「ライト兄弟」と呼びました。

 

 

ある日、お父さんが二人にプレゼントをします。

それは、フランスのアルフォンヌ・ペノーという人が発明したヘリコプターという、ゴムでプロペラが回る構造の「空飛ぶおもちゃ」でした。

 

 

やがて、二人は「凧」作りに熱中します。

少しずつ「空を飛ぶこと」への情熱が芽生え始めてきます。

 

 

そんな矢先、お母さんが亡くなってしまいました。

子どもたちが自分で気づくようなやり方で教えてくれるのがお母さんの子育てでした。

 

 

そり作りのときにも、空気抵抗のヒントをくれたのはお母さんです。

「積み重ねていけば、どんなに難しいこともやり遂げられること」を教えてくれたのもお母さんでした。

 

 

失意の中、彼らの大空への夢は、さらに膨らんでいきます。

キティーホークの空でグライダーの第1号機の実験を始めてから3年。

何度も何度も失敗を繰り返しながら、彼らは動力飛行機で人類初の有人飛行を果たします。

 

 

やがて、ライト飛行機会社を設立。

そこから優れた飛行機を世界に送り出したのでした。

のちに、ライト飛行機会社は売却・合併され、あのロッキード社へと成長していきます。

 

 

子どもたちが興味を持ったことを応援し続けたお父さんとお母さん。

ものづくりへの興味を感じたお父さんは、自分の大工道具を渡したり、空飛ぶおもちゃをプレゼントしました。

お母さんは、決して先回りせず、自分で考えるためのヒントをプレゼントしました。

 

 

興味・関心にこそ、「天才の種」は隠されています。

その種が発芽するように水をあげる。

「ライト兄弟」の両親がしたことは、そんな些細なことでした。

 

 

ですが、その些細なことがやがて大きな花を咲かせることになったのです。

 

 

子どもの才能が花開く問いかけの魔法

どんなことに関心がありますか?

 


【参考文献】

早野美智代 文

『ライト兄弟』

(ポプラ社)