お弁当で考える、なぜ僕らはすれ違うのか


ベーターくんは、事実を捉えて事実をそのまま話す人でした。

 

「今日のお弁当、暗い色だね」

 

お弁当を作ったアルファちゃんは悲しくなりました。

 

(一生懸命作ったのに、

 なんでそんなこと言うの!)

 

その悲しみは、ベーターくんへの愛から生まれていました。

のために、前日からメニューを考えてお買い物をし、朝早くからキッチンに立っていたのです。

 

彼女の心の地下2階には「愛」があって、それは地下1階で「悲しみ」に変わり、地上部分で「怒り」となって表現されました。

 

「だったら食べなきゃいいじゃん!」

 

机をバンと叩いて、お弁当箱をゴミ箱に投げ捨てたのです。

 

ベーターくんは唖然としました。

彼女がなぜ怒ったのか、理解できないのです。

 

 

事実を事実のままに伝える。

はそういうコミュニケーションのスタイルなのです。

 

A=Bの人なんですね。

 

「お弁当の色が暗い」= 「今日のお弁当、暗い色だね」です。

そこに他意はない。

 

 

「美味しそう」とも「不味そう」とも思ってなくて、「今日の空、青い色だね」と同じトーンで「今日のお弁当、暗い色だね」と口にしたのです。

 

一方、アルファちゃんはそうではないんです。

 

「一生懸命作った」という、そこにある思いを味わってほしい人なんです。

気持ちがわかってほしい、それだけなんです。

 

 

「美味しそうなお弁当だね。朝早くから作ってくれたの?ホントにありがとう」と言ってほしいだけなのですが、ベーターくんにはそれが言えません。

 

 

 

ベーターくんアルファちゃん

「なんで怒ってるの?」

と言いました。

 

 

 

それが余計にアルファちゃんを怒らせました。

 

「もうベーターくんなんて知らない!」

 

アルファちゃんは泣き出してしまいました。

ベーターくんはわけがわかりません。

 

 

そこへ現れたのはオメガちゃんです。

彼女は物事の真理を見つめる人でした。

 

 

彼女はスーっと駆け寄り

「もうベーターくん!

 

美味しそうなお弁当じゃん!

 

そういうときは、ありがとっ!って

素直に言うもんだぞ!」

 

と言ってケラケラ笑いました。

彼女は場の空気を変える天才でした。

 

 

そして、お弁当のおかずを一つ摘み上げると、自分の口に放り込みました。

 

「アルファちゃん、

この唐揚げ、すっごく美味しいよ」

と言いました。

 

 

 

アルファちゃんはにっこり微笑んで、

「ありがとう」

と言いました。

気持ちをわかってもらえて、彼女の心は満たされたのです。

 

 

人間関係は本当に難しい。

誰も悪くない。

ただそこに、すれ違いがあるだけなんだ。

 

 

 

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くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。