歩くスピードが違うことから学んだ「相手を思いやる」ということ

先日、あるセミナーの主催をした。
講師をホテルに送り届け、チェックインをしてもらっている間に、ホテル近くのセミナー会場に行って、準備をすることにした。
それで、一緒に主催している女性と二人で行くことになったのだけど。
距離にして200メートルほど。
なので、二人で並んで歩いていった。
僕は少しだけ前を歩いていた。
ふと斜め後ろの彼女に目をやると、小走りしている。
(急いでいるのだろうか?)と思った僕は少し歩みを早めた。
彼女は「顔だけ出したら帰ります」と言っていたので、(きっと次の予定があるのだろう)と思った。
僕が歩くスピードを早めると、さらに彼女は駆け出した。
それで僕は「そんなに急いでるんですか?」と尋ねた。
彼女は首を横に振って「全然急いでないです」と言った。
それで、僕はハッとして「もしかして僕の歩くスピードが速いんですか?」と尋ねた。
彼女は首を縦に振り、「くれちゃん、歩くの速い!」と言った。
僕は笑って、歩を緩めた。
僕は彼女に合わせたつもりだった。
でもそれは「つもり」だった。
駆け出す彼女を見て、「急いでいるのだ」と勝手に想像した僕。
僕の歩くスピードに合わせた彼女。
どちらも相手に合わせているつもりだったけれど。
言葉を交わし合えば簡単に解決する問題だったように思う。
面白いものだ。
人間関係の中では、こういう出来事が無数に起こっているのだろう。
「わかったつもり」とか、「わかっていてくれるだろう」とか。
相手を思いやるということは、勝手な想像を働かせて、先回りをすることではない。
相手の言葉に耳を傾けること、まずは聞いてあげること。
何より話せる関係性を作っておくこと。
相手と真摯に向き合うことこそが、相手を思いやることである。






