あなたが生まれて、僕は父親になった。
happy birthday♪
あなたが生まれて、
僕は父親になった。
今から13年前。
あなたが生まれて、
僕は父親になった。
あまりいい父親ではなかったと思う。
僕は厳しい親父であろうとしたんだ。
ときに手をあげることもあった。
今だって、よく怒鳴る。
良い父親ってなんだろう?
毎日毎日模索している。
子育てのワークショップなんかやってるけど、
本当はまだまだなんだよ。
全然子どものこと、わかってないよ。
少しずつ少しずつ、
あなたと妹弟から学ばせてもらってるんだ。
僕にはたくさんの「こうあるべき」があった。
その枠に囚われていたのだと思う。
勝手に「良い父親像」を描き、
その枠に収まろうとした。
全然ダメダメの親父だよ。
あなたはあなたのままでいい
あなたが母ちゃんのお腹にいるときから、
僕は名前を決めていた。
サッカーをやってほしくて、
サッカーにちなんだ名前をつけた。
幼稚園に入ると、
小さなサッカークラブに入れた。
あなたはいつも、
ゴール前でお砂遊び。
(他の子のようにボールを追いかければいいのに)
なんて思ったけれど、
それは僕のエゴ。
そんなエゴを察してか、
小学校に入ると、
あなたはサッカー部に入った。
僕はなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
あなたは「好きでやっている」と言っていたけれど。
お世辞にも上手ではない姿を見て、親の期待を背負わせているみたいで、申し訳ない気持ちになったんだ。
だから、中学生になって
バレーボール部に入ったとき、
僕はうれしかった。
自分の好きなことをやればいいんだ。
心からそう思う。
親の期待なんて背負わなくていい。
あなたはあなたの人生を思いっきり生きればいいんだよ。
足のサイズも変わらなくなり、
やがては僕の背丈を越すだろう。
それがうれしくてたまらない。
あなたはあなたのままでいい。
やりたいこと、
思いっきりやろう。
父ちゃんと母ちゃんはそれをただ
応援するだけの存在なんだ。
子供が生まれて自由になった。
先日、
高橋歩さんにお会いしたとき、
こんな質問をした。
「結婚をして自由になった」
「子供が生まれて自由になった」
あの言葉の意味を教えてほしいって。
歩さんの答えはこうだった。
「何かに挑戦すれば、
自由に生きれば、
世界中を敵に回すことだってある。
それは恐いよ。
でも、結婚して子どもが生まれて。
何があっても、妻と子供は自分の味方なわけじゃん?
あいつらは絶対的な味方なわけじゃん?
そしたら恐いものなんてないよな。
世界中全員的に回しても、
俺には味方がいるんだ。
だから、自由だよね」
僕は、母ちゃんの味方でいられただろうか?
僕は、あなたや妹弟の味方でいられただろうか?
僕はやっぱり出来損ないの父親だ。
上海にいるとき、
父ちゃんは母ちゃんとひどくケンカした。
あの日、はじめてあなたは母ちゃんの味方になった。
そのときの僕は仕事でいっぱいいっぱいだった。
だから、母ちゃんが許せなかった。
自由に飛び回る母ちゃんを、今のように余裕のなかった僕は許すことができなかった。
心が枯渇していたんだと思う。
それで僕はひどく怒った。
夜の上海。
路上でひどく怒っていた。
でも、そのときあなたは初めて母ちゃんの味方をした。
いつも父ちゃんの味方をしていたあなたが
母ちゃんの味方をしたのを見て、
とてもショックだった。
でも、それは僕を変える大きな出来事となった。
それから1ヵ月後、
あなたの身体に変調が起きた。
僕は最初、学校でいじめられてるんじゃないかと思った。
けれど、そうではなかった。
学年主任の先生に、
「そういうのって、1ヵ月前とか2ヵ月前とか、ちょっと離れたときにショックな出来事があると起こるんだよ」
と教えられた。
僕はハッとした。
あの日のケンカだと悟った。
だから。
今もあなたが悲しそうな顔を見せるたび、
僕は胸をぎゅっと締めつけられる。
生きているだけで百点満点!
出来損ないの父親で、
まだまだ子育てなんて語る資格もない僕だけど。
あなたのおかげで父親になることができた。
生まれてきてくれた。
ただ、それだけに感謝。
本当にありがとう。
生きてるだけで百点満点だよ。
赤ちゃんのころ、よく夜中に熱を出した。
新米の父親だった父ちゃんと、新米の母親だった母ちゃんは、そのたびにドキドキしながら深夜の救急病院に走った。
「この命と引き換えでも、この子が助かるならそれでいい」と心から思っていた。
ただの発熱なのにね(笑)
生きてるだけでいい。
心からそう思う。
僕はバカだから、そういうことをすぐに忘れてしまう。
あれこれ期待を寄せてしまう。
親をやるって難しいよ。
わかってんだよ、いろんなこと。
わかってんのに難しいよ。
今も発展途上中。
親として成長中だな。
13年前の今日、
あなたが生まれてきてくれた。
そして、僕は父になった。
がんばったのは母ちゃんで、
僕はただ、そこにいるだけの存在だった。
破水から24時間以上かかって、あなたは生まれてきた。
そうだ。
あの日から僕は家族の味方でいればよかったんだ。
それだけでよかったんだ。
がんばり過ぎてたな。
難しく考えてたな。
ただ味方でいればいいんだよ。
そうだ。
そうなのだ。
あなたが生まれて、
僕は父親になった。
僕には絶対的な味方ができた。
だから僕も、
あなたの味方でいればいいのだ。
母ちゃんとあなたと妹弟の
絶対的な味方でいればいいんだよね。
生まれてきてくれてありがとう。
今日はもうそれだけ。
それだけを伝える日だよ。
子どもとつながる問いかけの魔法
どんな感謝が生まれましたか?