「楽をして生きたい」について考える。

魚を捕る子ども

ある男の子との個人セッションから考える

「楽をして生きたい」

 

その言葉の意味をずっと噛み締めていました。

頭の中で、何度も何度も繰り返してみました。

 

 

楽をして生きる。

それは、どんな状態なのでしょうか。

 

 

そんなことを考えたのは、昨日ある男の子と個人セッションをしたからです。

中学生の男の子でした。

その彼が、こう言うのです。

 

「楽をして生きたい」

 

 

たしかに、教員時代も子どもたちがときおり口にする言葉でした。

そんな言葉を聞くと、ついつい大人は説教じみたことを言いたくなります。

「楽してなんて生きていけないよ」って言いたくなります。

 

 

でもね、彼の「楽して生きたい」は、まだ本音ではないと思うのです。

その裏にあるものは何か。

僕はずっと、それを感じようとしていました。

 

 

「楽をして生きる」

 

それは、どんな状態なのでしょうか。

 

 

「楽をして生きる」とは?

「楽をして働く」って言うと、なんとなく「手を抜く」というイメージですね。

「楽してダイエット」って言うと、あまり我慢などをしなくてもいい感じがします。

「あの人と一緒にいると楽なの」って言うと、気疲しない感じでしょうか。

 

 

では、「楽をして生きる」ってのは、どんな感じなのでしょう。

 

 

親の働いた金で生活をし、一日中ゲームをしたり動画を見て暮らす。

彼はそれを「楽をして生きる」と表現してくれたんですね。

 

 

たしかに昨今、30代や40代の引きこもりが社会問題になっています。

親にパラサイト状態になってしまうと、なかなかそこから抜け出すことは難しいようです。

 

 

では、そういう大人は「楽して生きている」のでしょうか。

ちょっと僕にもわかりません。

 

 

仮に。

その暮らしが「楽をして生きている」だとすると、あまり魅力的な暮らしには見えないのは僕だけでしょうか。 

 

 

こういう言い方は、あまり適切ではないかもしれませんが、やっぱカッコよくないよねって思っちゃうわけです。

他者に依存するのは、カッコよくなくて美学に反すると申しましょうか。

「生きる」って、なんなのさ?という話になってくるわけですね。

 

 

なぜ、僕らは働くのだろう?

ビジネスで成功を収め、経済的自由を手に入れた人の中には、若くしてリタイアし、悠々自適な暮らしをしている人もいます。

もう働かずとも食べていける状態。

それは、「楽をして生きる」という状態かもしれません。

 

 

しかし、ほとんどのビジネスパースンは、数年後には再びビジネスの世界に戻っていくそうなのです。

巨万の富を築いたビジネスパーソンが、新たなビジネスをスタートすると、「普通の人たち」は、「あの人は金の亡者だ」と揶揄したりします。

でも、その見方は間違いです。

 

 

お金のために働いているわけではないのですね。 

「楽をして生きる」のは、ちょっと退屈なのだと思います。

 

 

そう考えると、「働くとは?」という新たな「問い」が生まれます。

僕らは「お金のため」だけに働いているわけではありません。

 

 

やはり、そこには「自己の完成」と密接につながっていると思うのです。

給料だけで職業を選んでしまうと、やはり苦しみます。

本当にやりたいことを見つけて、職を変える人も多くいます。

 

 

「働く」の意味も、昨今はずいぶん変わってきたように感じるのですね。

 

 

ユーチューバーは楽なのか

楽をして生きるためには、やはり準備が必要です。

苦労する時期も必要です。

…などと、当たり前のことを書き記すつもりはありません。

 

 

「ユーチューバーになりたい」という子どもは多いようです。

それを知って大人はまた、説教じみたことを言います。

 

 

「そんなに簡単じゃないよ」とか、「あんなのはたまたまうまくいった人だよ」とか。

なんとなく、大人から見ると「ユーチューバー」って「楽をして生きている」ように見えるかもしれません(笑)

 

 

果たしてそうでしょうか。

 

 

星の数ほどいるユーチューバーの中で、リアルに稼げているのは、わずかでしょう。

いかにして、動画を見つけてもらうか。

それは、かなり研究が必要です。

コンテンツを作り続けることも、たやすいことではありません。

 

 

人気チャンネルを見ると、機材や編集技術など、かなりの苦労が伺えますし、初期投資も必要かと思います。

子どもが見ているYOUTUBEを横からのぞき見ると、やはり「楽をして生きている」わけではなさそうなのです。

 

 

そもそも、楽をして生きている人ってのが、ピンと来ません。

具体的にだれが楽をして生きているのでしょうか。

 

 

この世界に、楽をして生きている人っているのでしょうか。

 

 

芸能人。

スポーツ選手。

政治家。

作家。

街で出会う人。

 

 

まあ、だれを見ても「楽をして生きている人」っていなさそうです。

って考えると、どうやら子どもたちが口にする「楽をして生きる」って、ちょっと意味が異なるように思うわけです。

 

 

人生を楽しむ

どちらかというと、「好きを仕事にする」「やりたいことを制限なくやれる」「ライフスタイルに介入されない」に近い気がするのですね。

 

 

「もっと楽しい人生を歩きたい」

 

そんな感じがするのです。

まあ、そうやって生きようと思うと、実はかなりのエネルギーが必要です。

僕は今、とても楽しい毎日を過ごしていますが、ハッキリ言って「楽」ではありません(笑)

 

 

「楽しい」けれど、「楽」ではないんです。

ただ、苦しくもありません。

 

 

すると、「苦」と「楽」は、対義語ではないような気もしてきます。

「楽をする」と「楽しい」も違いますね。

 

 

そう考えると、「楽しい」ってどんな状態でしょうか。

 

 

あらあら。

また、自問自答が始まってしまいました。

今日はここまでにしたいと思います。

 

 

魔法の質問

「楽しい人生」って何ですか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。