もう少し考えて起業しましょう、という話


以前、格安SIMカードの代理店になるお話をいただいた。

僕は(なるほど)と思って尋ねた。
「それって、安くスマホを使いたい人に届けるわけですけど、さらに安いSIMカードが出たらどうなるんですか?」


すると、相手は黙り込んでしまった。
「えっ?そういうこと、考えないで参画するの?」って驚いてしまった。


「安さ」を売りにしたら、さらに「安い競合他社」が現れたとき、戦い方が「さらに値下げする」になってしまう。


日々、いろんなビジネスや投資の話が飛び込んでくる。
それを聞いて、「あ、面白そうだな」とか「これは無理そうだな」と、パパパっと目利きする。


この場合の面白そうは、「お金になる」か「お金に代わる価値あるものが手に入る」かだ。


人脈であったり、経験であったり、お金には代えられないものがたくさんある。


「お金」だけのために始めるのは面白くないから、「お金」以外にいろんなものが手に入るのが理想だ。


「無理そうだな」は、「僕にできるか、どうか」ではない。


多くの人が「できるか、できないか」で考えるけど、現時点で「やったことがないこと」に対して「できるか、できないか」を考えることは無駄なことである。


だって、やったことないんだから、できるかできないかなんてわからないじゃん?


そして、ほとんどのことはやればできるのよ。


僕の言いたい「無理そうだな」は、「それ、ビジネスとして形にならなくないですか?」という意味の無理そうだな、である。


いろいろやってると、「これはがんばったところでお金にはならないなー」という事業に出会う。 


最初は「お金になりそう」と思ったけど、やってみると「これは形にならなさそうだな」と気づくこともある。


ビジネスなんて10打数1安打みたいな世界だから、とりあえずやってみて形になりそうだったら、エネルギーを全振りすればいい。


やる前に「できるか、どうか」を考えるのはマジで無駄だから、ビジネスとして破綻してないか、市場はあるか、ニーズはあるかを見極めて、「なかなか面白そうだな」と思ったら、とりあえずやってみる。


やってみると、そのビジネスの面白さがわかってくる。
僕は基本的に「面白い」からやる人間なんだけど、でも、「お金にならない」と、それはもうビジネスとは呼べないから、どこかで見切りをつける。


ま、そんなことを繰り返してきたから、人からビジネスの相談を受けると、5分ほどでだいたい見極める。


こんなのたぶん普通の経営者さんなら、誰でもできるだろうけど、結論はだいたい「これってビジネスにならなくないですか?」だったりする。


経営者さんは自分の事業もそうだし、他の経営者さん仲間の事業にも触れている。


ビジネスを始めるなら、どういう人が参画してるかってのは重要な視点で、経営者さんが多く参画してるってことは、そういう目利きのできる人たちが「これは面白い」と判断したわけだから、ひとつの基準となる。


投資案件について、投資家さんたちが「これ、面白そうだね」と言えば、それは面白そうな案件だし、ビジネス案件について、経営者さんたちが「これは面白そうだね」と言えば、それは面白そうな案件だとも言える。


ちなみに、ビジネスぴよぴよさん「それって、お金にならなくない?」という話をした場合、反論の9割は「お金じゃないんです」だ。


「うん、じゃあ、ボランティアでやったらいいじゃん」って言うと、「そうじゃない!くれちゃんは全然わかってない!」と言い出す。


マジ、面倒くさい。


そういう人が「モニター価格」とかで、超安価に提供を始めて市場を荒らしていくんよ。


「自信がない」という理由でワンコインとかドネーション価格とか、わけのわからんことを始めるんよ。


少し話題を変える。


「好きを仕事にする」を誤解している人がいる。
「私、四柱推命が好きだから、これを仕事にします!」みたいな人がいて、「でも、集客できません」なんて言っている人、山ほどいる。


先日、稼げてる占い師と話してて、「占いは占い!集客は集客!」と言っていて、「なんかスピリチュアルな力で人が集まると思ってる人がいて笑える。集客は集客のための行動をしなきゃお客さんなんて来ない!」と言っていて、ニヤリ😁としてしまった。


僕はネットフリックスで映画を観るのが好きだ!
グランパスの応援に行くのが好きだ!
筋トレが好きだ!


でも、ネトフリを仕事にしようとも、グランパスの応援を仕事にしようとも思わない。そんなの、お金にならないし。
筋トレは好きだけど、人に教えるの、好きじゃないしw


あなたが言っている「好き」は趣味だぞ。


僕は「集客」が好きだ。
いつも人を集めている。


「書く」も好きだ。
四六時中文章を書いている。


講座をするのも好きだ。
講座を作るのも好きだ。


なので、トータルで「好き」を仕事にしている。


なんかさ、みんな「好き」を仕事にしてるんじゃなくて、「趣味」を仕事にしようとしてるのね。


お金にならないものをお金に変えようとする。
ちょっと待て
あなた、ビジネスぴよぴよさんだよね?


なんで、そんな難易度の高いことするの?
最初は難易度の低いビジネスから始めなよ。


なので、いつも尋ねるのは「ニーズあるの?」って話で、そう尋ねると「みんなが必要としている」みたいな話をされて。


「んじゃ、なんでみんなが必要としているのに売れないの?」みたいな話をして追い込む。


だから、嫌われるんよね。


昔、出産したばかりのお母さんから子育て講座を仕事にしたいという相談を受けた。


対象は園児から小学生までのお母さんが対象だそうで、子育ての悩みを解決するコンテンツだそうな。


それで尋ねたの。


「それって、あなたから学びたいかなー?」って。


保育士でも幼稚園の先生でも学校の先生でもなくて、子どももまだ乳児で、子育て経験がないわけじゃん?


あなたから学びたいかな?


こういう視点を持たない人もいるんだな、と思った。


商品力で売れる商品と、人間力で売る商品があって、僕のような仕事はもう完全に人間力で勝負するジャンルだったりする。


同じ商材を取り扱ってても、売れる人と売れない人がいるのはどんな物でも当たり前なんだけど、それが顕著に現れる世界だと思う。


「教える」という仕事は、「何を学ぶか」以上に「誰から学ぶか」が重要だからだ。


一方、商品力で売れる商品は、ネット全盛の現代社会においては、一般人が扱うのは難しいものになっている。


「面白い商品があるから売ってみない?」と言われたら、まずはメルカリで検索しよう。


既にメルカリで安く転売されていたら、その商品を取り扱ってもビジネスにならない。


クラファンもやったし
イベントもやったし
プロダクトを作って物販もしたし
商業出版も電子書籍出版もしたし
講座も講演もしたし
講演主催もしたし
高額商品も売ったし
事業再構築補助金でアプリも作ったし


あれもこれも
いろんなことをやってきた
そういう経験をしてきたからこそ

僕はビジネスについて、そんなことを考えている。
くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。