「旦那の稼ぎ」を自慢する女はいても、「女房の稼ぎ」を自慢する男はいない。
先日、夫婦仲睦まじく大阪へ出かけた。
その帰り道、運転をしながら妻に、好きなタイプを尋ねた。
昔は宮本輝が好きだったらしい。
はて、宮本輝?
さっぱり顔が思い出せない。
ググったら72歳の小説家の「宮本輝さん」が出てきた。
渋いチョイスだ。
宮本亜門の間違いじゃないだろうか?
いや、宮本亜門もずいぶん年上である。
62歳…。
妻の趣味、よく分からない。
もういっそのこと、「宮本武蔵が好き」って言われた方がマシである。
歴史通の女を「歴女」と呼ぶらしい。
よくよく確認したら、「岩本テル」が好きなのだそうだ。
ググったら岩本輝(あきら)さんという元オリックスの野球選手が出てきた。
なんかマニアックな女だな…と思った。
一応、確認したところ、サッカー選手の方だと言う。
それでようやく「岩本輝雄さん」にたどり着いた次第だ。
元ベルマーレの「岩本テル」である。
僕はそれを「宮本テル」と聞き間違えたというワケだ。
どうやら彼女、甘い顔が好きらしい。
残念ながら、僕は「甘いマスク」ではない。
そういえば、よく小沢健二が好きだと言っていた。
申し訳ないが小沢一郎しか顔が思い出せない。
というわけで、やっぱりググってみた。
なるほどな。
昔の顔は確かに甘い顔をしている。
だが、現在の顔は残念ながら、けっこうな「おじさん」である。
年齢には勝てないものだ。
そう言う僕も、鏡を覗いてみるとけっこうな「おじさん」でちょっと引く。
40代だもんな…。
仕方ないよねって思う。
恋愛において、「性格の良い人がいい」とおっしゃるのは完全なる建前である。
現実的に最も評価対象となるのは、間違いなくルックスである。
性格とか、あんまり重視されない。
異性を紹介した場合、「好みじゃない」という返事の裏にあるのは「見た目が好みじゃない」であって、決して「中身が好みじゃない」ではない。
「やっぱ中身よね」は建前であり、本音は「とりあえず顔」なのである。
ただ、これまた残念なお話なのだけど、見た目なんてものは確実に劣化する。
資金投入して、スッピンにヒアルロン酸その他もろもろ、様々なドーピングを施し、人工のスッピンが作られているわけだが、それでも見た目なんてものはどんどん劣化していく。
男も男で、どれだけ育毛剤を投入して、やせ細っていくばかりである。
公的資金を投入してもやせ細っていく様は、地方のそれのようである。
頭皮の過疎化はますます進むばかりだ。
そんなわけで、「若さ」や「見た目」はいずれ衰えていく。
だって、人間だもの。
夫婦は恋人ではない。
だから、そこはもうどうで良いかというと、そうでもない。
男はいつまでも妻にはキレイでいてもらいたいものだ。
男の価値は連れている女房の価値で決まるのだ。
であるならば、男子たる者、妻を輝かせねばならぬ。
女性もまた、男性を輝かせて、稼がせることが大切だ。
ようは相手を立てよ、という話なのである。
自分を輝かせることに一生懸命になりがちだが、案外パートナーを輝かせることで自分が輝くということもあるのだ。
これはちょっと面白い感覚なのだが聞いてほしい。
「旦那の稼ぎ」を自慢する女はいても、「女房の稼ぎ」を自慢する男はいない。
こういうのは、男と女の不思議なところである。
したがって、奥様の方が旦那を輝かせることを考えた方が、人生全体の利益においては有利に働くと考えられる。
大阪からの帰り道、「いかに旦那に稼がせるかだよね」なんて話をしておりました。
「岩本テル」と「宮本テル」ですれ違った僕ら夫婦。
話せば何てことのない「すれ違い」なワケでして。
感性や価値観の違いもまた、話せばわかることなのかもしれません。
パートナーシップのしつもん
どんな対話の時間を作りますか?