学校が消えた町は…
国立社会保障・人口問題研究所が平成14年(2002年)1月に発表した『日本将来推計人口』によれば、平成26年(2014年)には出生数が100万人を下回ると推計されていました。
実際に100万人を下回ったのは、それから遅れること2年。
平成28年(2016年)に97万6979人となりました。
あれから6年。
出生数の減少は下げ止まることはなく、令和4年(2022年)には統計開始以来初めて80万人を切り、79万9728人となりました。
昨年、令和5年(2023年)に生まれた赤ちゃんは、データが揃っている11月までのところで前年比の5.3%減。
なんと69万6886人だったそうです。
おそらく70万人台半ばであると予想されます。
おわかりのように、生まれる赤ちゃんが急激に減っているのです。
では、2002年当時の推計はどうだったのでしょうか?
2002年の段階で、2022年の赤ちゃんは89万1000人生まれると予想されていました。
実際には79万9728人だったのです。
ちなみ、2023年は88万人の赤ちゃんが生まれると予想されています。
しかし、実際には75万人前後となりました。
もっと驚くのは89万人から88万人と1万人ぐらいしか減らないと予測していたのに、5万人ぐらい減ったことです。
5倍です。
このことに、本当の意味で危機感を持っている方はどれくらいいるでしょうか?
私たちは、ある程度の蓄えがあるとはいえ、老後は年金というものを期待し、お金をほぼ強制的に徴収されています。
でも、実際、私たちが老後を迎えたとき、暮らしを支える現役世代はどれだけ残っているのでしょうか。
例えば働き盛りの30歳が生まれた年、1993年は118万8282人が生まれました。
今から30年後の30歳は79万9728人にしかいません。
3分の2しかいないのです。
そう考えると、生まれる子どもも3分の2になると想像できます。
ますます少子化は進みます。
さて、最近『学校プロジェクト』を進めているため、過疎化が進んでいる地域の人口について調べてみた。
ある市の統計では、人口2万1000人のところ、高齢化率は実に40%を超え、小中学校の統廃合を行なっている。
人口が減ると、学校がなくなる。
これは別の町を視察したときのこと。
その地域も統廃合が進み、町から学校が消えた。
当然のことながら、地域に学校がないので、30代40代といった世代が引っ越してくることはない。
若い世代がいないので、飲食店だとかコンビニだとかも撤退していく。
高齢者ばかりでは防災や治安面でも心配である。
だんだんと町が廃れていく様子が垣間見えた。
学校がなくなるということは、そういうことだ。
子育て世代が町から姿を消すことになる。
これから人口減がさらに続くだろう。
すると、特色のない地方都市、交通の便の悪い地方都市から順番にその煽りを受ける。
日本全体が超少子化、超高齢化になるわけではなく、煽りを受けやすい地域からその煽りを受け、さらに町が死んでいくことになる。
だから、今から手を打たねばなるまい。
日本全体の人口減という大きな問題もさることながら、あなたが暮らす町の未来はどうだろうか。
そこから考える必要があるのではないだろうか。