想像力は人を寛容にする。
京都府舞鶴市での大相撲春巡業。
多々見良三市長が倒れた際、救命処置をしようと女性が土俵に上がった。
しかし、場内放送で土俵から降りるように促された。
それが問題になっている。
かわいそうだなぁと思う。
聞けば土俵は女人厳禁らしい。
大相撲の歴史の中で、女性は土俵に上がることを許されていない。
確かに命に関わる事態だ。
あとで冷静になって考えればわかる。
だが、よ〜く考えてほしい。
突然、市長が倒れたのだ。
100%想定外だ!
その瞬間、女性が救命に駆けつけた。
100%想定外だ!
そして、周囲の好角家が「女性を土俵に上げていいのか?」詰め寄った。
さあ、あなたならどうする?
申し訳ないけれど、俺ならマイクで言うね。
「女性は土俵から降りてください」って。
あの相撲協会で、
場内放送を担当する若い行司さんだよ。
その立場で、大相撲の歴史を破って、
「命の危機だから土俵に上がってもいいんです!」って判断できる人、いると思う?
想像してごらんよ。
言えないよ。
そんな不測の事態で、冷静な判断できる?
想像力がないのかな。
無理だよ、そんなの。
俺、絶対アナウンスするわ〜。
「女性は土俵を降りてください」って。
そりゃ、後から冷静に考えたら「人命」の方が大切なのはわかるよ。
でも、あの場でその判断を一介の行司さんがするのは無理があるよね、って思う。
結局、後出しジャンケンなんだよな。
後からなら何でも言えるんだよ。
この社会が抱える閉塞感はさ、「後出しジャンケン」が原因なんだと思うよ。
批判的な世の中だもんな。
他人に無関心で不寛容。
だれもが正義になりたくて、いつも悪者を探してる。
あの一瞬で判断しろっていうのは無理があるよ。
それをですね、こんなに話題にされたら、行司さんがかわいそうだわ。
日和見の日本人をマイクの前に立たせてみたら、きっとほとんどの人が「女性は土俵から降りてください」って言っちゃうと思うよ。
批判するのは簡単だよ。
もっと想像力が必要だよな。
想像力は、人を寛容にさせると思うね。