「愛し合ってるかい?」と尋ねるけれど、ところで愛ってなんなのさ?
「ねえ、愛してる?」
と彼女が髪を掻き上げながら尋ねた。
僕は頭を撫でながら
「うん、愛しているよ」
と答えた。
ところで、思うんだけど、聞いていい?
「愛してる」ってどういう状態?
ふと疑問に思ったんです。
似たような言葉に「恋してる」があります。
誰かを好きになると、僕らは「恋してる」になります。
でも、「ねえ、恋してる?」とは尋ねません。
どうやら恋に確認作業は必要なく、愛には確認作業が必要なようです。
僕はTHE YELLOW MONKEYというバンドが大好きです。
ボーカルの吉井さんがよく、こんなセリフで会場を煽ります。
「ロックンロールしてますか?」
これに対してオーディエンスは「YEAH!」と声援で応えます。
演奏しているバンドのメンバーはもちろんですが、どうやらオーディエンスもロックンロールしているみたいです。
先日、Jリーグを観に行きました。
名古屋グランパスvs湘南ベルマーレの試合です。
両チームの選手は、サッカーをしていました。
「サッカーしてますか?」と尋ねたら、選手たちはみんな「YEAH!」と答えてくれたはずです。
ただ、観ている僕らはサッカーをしているとは言えません。
サッカー観戦であり、応援です。
どうやら、ロックンロールとサッカーは別物のようです。
さて、話題を愛と恋に戻しましょう。
「恋してる?」という言葉は、片方だけでも成り立ちます。
「片思い」ってな感じですわ。
「僕は君に恋してる」けど、「私はそうでもないわ」はよくある話です。
これはサッカーと同じです。
一方はサッカーをしていて、一方は観ているだけ。
んで、愛はロックンロールです。
一方が愛していて、一方が愛していない。
これは成立しないわけです。
「恋し合う」なんてフレーズはなく、「愛し合う」は素敵な言葉なんですね。
愛ってのは双方向でなければならないのです。
忌野清志郎さんがよく言いました。
「愛し合ってるかい?」って。
愛には確認作業が必要なんです。
「ねえ、愛してる?」
と彼女が髪を掻き上げながら尋ねるので、僕は頭を撫でながら
「うん、愛しているよ」
と答えるわけです。
…ということをぼんやり考えながら、車を走らせていました。
人間は1日に6万回も思考を繰り返すそうです。
僕の思考の大半は、このような「世の中の役に立ちそうにないこと」だったりします。
事の発端はどうでもいい「問い」から生まれました。
なぜあの体位を「正常位」と呼ぶのだろう、と。
なんだか知らんけど、運転中、ふと思ったんですわ。
なんで、あれ、正常なん?って。
「正常」、つまり最もスタンダートなんですね、あれが。
「正常」な「体位」だから「正常位」です。
いや、おかしくないか。
ずっと運転しながら考えてました。
だって、基本、動物の交尾は「後背位」です。
いわゆる「バック」です。
あれが自然です。
なぜ人間は向き合うのだろうか。
不思議に思ったんです。
ええ、運転しながら思ったんです。
ちなみに、車はバックではなく前に向かって走っていました。
性行為を愛情表現の一種として扱う珍しい生き物なんですよね、人間って。
生殖を目的としない性行為をします。
あ、もちろん、ただ欲望を満たすためだけの性行為もあるとは思いますが、おそらく大きな目的の一つは愛情表現です。
だから、不特定多数とは致しません。
なので、顔を合わせる、目を合わせるが大事なのかもな、と思いましてね。
まー、究極のコミュニケーションですよね。
相手を思いやって、相手の喜びを自分の喜びのように扱う時間でもあります。
そう。
愛を確認し合う時間なんです。
ん???
ところで、愛って何?
そんなわけで冒頭のどうでも良い話に戻ります。
僕の頭の中は、いつもこういうどうでも良い「問い」がひたすら繰り返されています。
何が言いたいかというと、「問い」を持つことが大事だということです。