なぜその校則があるのか、ちゃんと説明できますか?

生徒指導 校則

そのルール、本当に必要ですか?

学校にはどうでもいいようなルールがけっこうあったりします。

それらのルールは「子どもたちに愛され、保護者に応援される先生」を苦しめます。

子どもの気持ちに寄り添いたい。

けれど、ルールだから仕方がない…。

そんなジレンマの中で過ごしている先生もいらっしゃるでしょう。

 

だから、ルールなんか無視しろ!

…とは、言いません。

そんなことをすれば、学校は空中分解します。

うん!空中分解はよくないよね。

 

一つひとつの校則について、その校則がなぜあるのかきちんと理由を答えることができるでしょうか?

僕はずっと生徒指導の中心で仕事をしていました。

当然、「なんでこんなルールがあるんですか?」と、子どもからも保護者からも、それから若い先生からも尋ねられるポジションにいました。

 

正直言って、僕が作ったわけじゃないんだけどね…とは思いました。

けれど、そんな日々があったからこそ、一つひとつの校則と向き合うこともできました。

 

杓子定規にやってしまった方が楽なのはわかるけど…

「なんで、こんな校則があるの?」

そんな問いに対して、

  「ルールだから」

  「これまでこうしてきたから」

  「学校はこういうものだから」

で、片付けてしまったら、子どもたちに愛されることも保護者に応援されることもありえません。

 

たとえば、こんなルール。

「学校に携帯電話を持ってこない」

 

おそらく、ほとんどの学校にあるルールなのではないかと思います。

若いころ、僕はこのルールがどうしても納得できませんでした。

 

保護者から下校時の安全のために持たせてほしいというような声があったのです。

しかし、学校の答えはNoでした。

 

それで、僕は先輩の先生たちに尋ねました。

「なんで、学校に携帯電話を持ってきてはいけないんですか?」

返ってきた答えはやはりこんなものでした。

「ルールだから」

「これまでこうしてきたから」

「学校はこういうものだから」

 

この答えはまったく答えになっていないと思うのです。

「職員室以外から外部に連絡が取れると、生徒指導上困るから」とも教えていただきました。

 

教師になって15年。

おもに、生徒指導に携わってまいりましたが、未だにそういう場面に出会っていないんですよね

いったい外部に連絡が取れると、どんな事件が起きるのでしょうか。

 

こんな話もあります。

ある雪の日、長靴を履いてきた子がいました。

先生は注意します。

「ウチの学校のルールでは、白い運動靴を履くことになっています。履き替えてきなさい」

 

髪の毛をしばるゴムは、紺か黒。その色は青だからダメ。

靴は真っ白。色のラインが入っていたらダメ。

 

どうやって説明するのだろう?

やはりこう答えるんだろうな。

「ルールだから」

「これまでこうしてきたから」

「学校はこういうものだから」

答えになってない答えを伝えることで、どんどん子どもたちの心、保護者の心は離れていきます

 
 

校則を守らせることが目的になっていませんか?

どうでもいいルールを遵守しようとするあまり、学校と家庭のつながりが壊れていくとしたら、それは大きな過ちではないでしょうか。

「何のために」が大切

守らせることは目的ではありません。

そのルールは何のためにあるのですか?

きっとルールの先にもっと大切なことがあるはずなんです。

 

「学校に携帯電話を持ってこない」

 

僕はこのルールを、こう子どもたちに伝えています。

「目の前に友だちがいるのに、携帯電話イジってたら悲しいよな。携帯電話がないと、コミニケーションが取れないなんて、悲しいと思うんだ。学校は集団から学ぶ場所。リアルに顔を合わせて、ぶつかりあって、一緒に泣いて、一緒に笑って、愛され方を学ぶ場所。僕はこの教室に携帯電話は不要だと思うんだけど、みんなはどうだい?」

 

もちろん、この想いは学級通信で保護者にも発信します。

「だから、携帯電話は学校にいらないんだぜ!」

そうやって胸を張って指導したい。

 

ちなみに、登下校が不安だという保護者にはこう伝えています。

「では、朝、職員室で僕に預けてくださいね。下校するときにお返しします」

大切にすべきことがわかっていれば、保護者のニーズにだって、ちゃんと応えてあげられるんです。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 杓子定規でまっすぐ線を引くことが、正しいとは限らないんだぜ!

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。