子どもの思考をつくるのは、大人の姿なの
損か得かで考える子
「先生、英検は取った方がいいですか?」とよく尋ねられます。
良いか悪いか、というのは何をもって決まるのでしょうか。
それはつまり、「時間をかけてまで取る価値はありますか?」という意味なのでしょう。
「取った方が受験に有利ですか?どのくらい有利ですか?」という意味なのでしょう。
「先生、ボランティアをやると評価されますか?」
こんな質問をされたことがあります。
やると受験に有利だからやる。
やっても受験に有利にならないからやらない。
そういうものなのでしょうか。
そもそも、子どもたちがそのように打算的に物事を考えているとは思えません。
さまざまな大人の言葉が、彼らにそのような価値観を与えているのではないか。
これは、僕の勝手な予想です。
それって夢なの?
以前、スポーツ選手の池谷幸雄さんが学校で講演をされたことがありました。
池谷さんは子どもたちにこう投げかけました。
「将来の夢はなんですか?」
すると、中学1年生の男の子が元気よく手を挙げました。
マイクを向けられた彼は、はっきりした口調で答えました。
「将来の夢は公務員です」
池谷さんは、驚いた表情で「どうして?」と尋ねました。
すると彼は、その問いの答えがあたかも用意されていたように口を開きました。
「はい。公務員は安定しているからです」
池谷さんは、返す言葉を失っていました。
果たして、13歳の子どもが将来を憂い、安定を求めるでしょうか?
そんな夢(?)をわざわざ全校生徒の前で挙手して話すでしょうか?
彼には、その夢の意味がよくわかっていなかったのではないか。
彼を取り巻く大人たちの言葉を聴き、それを夢だと認識したのではないか。
これも僕の勝手な予想です。
子どもが未来に希望をもてるように
子どもたちは、大人の姿をよく見ています。
大人の言葉をよく聴いています。
そのことをよくよく自覚して、日々を過ごしたいと思います。
テレビから流れる暗いニュース。
愚かな大人たちのゴシップ。
子どもたちは見ています。
家でこぼす愚痴を子どもたちは聴いています。
家でこぼすため息を子どもたちは聴いています。
子どもたちは、そんな大人たちの空気を感じながら、いえ吸収しながら日々を過ごしています。
「学校は社会の縮図」です。
世の中で起きていることが、学校でも起きているに過ぎません。
よくよく襟を正したいと思います。
ハッピーな先生になるためのステップ
子どもたちが未来に希望を抱くような大人になる。