高次に引き上げる授業づくり

学習指導

高次の学びをつくるには

教室で行われる話し合い活動。

それがどうしても教え合いになってたり、感情のもつれにつながっていたりする。

グループを作ったからといって、必ずしも学び合うなんてことはありません。

 

リトルティーチャー(生徒の中の先生)を生み出し、優越感に浸りながら教え合う。

いや、一方的に教える。

そんな「教え合いの授業」は、案外多いような気がします。

 

学ぶことって、本来はとっても楽しいはずなのに、勉強して傷ついて、どうするよ?

話し合って、互いの思考から学び合う。

だんだん学習していく中で、高次に上がっていくイメージなんです。

スパイラルに上昇していく。

じゃあ、そんな授業をどうやったら作れるでしょうか。

 

味噌汁の味噌は赤味噌?白味噌?合わせ味噌?

たとえば、こんな課題があったとします。

味噌汁の味噌は「赤味噌」「白味噌」「合わせ味噌」のどれがいいか?

あっ!たとえば…の話ですからね。

 

こんな話し合いはよくない。

「私は赤が好き」

「僕は白が好き」

「俺は合わせだ」

で、お互いに自分がいかにその味噌が好きかを伝え合って堂々巡りを繰り返す。

こんなのはよくない。

それは、話し合いじゃなくて戦いなの。

お互いの主張を繰り返すだけなのは、不毛です。

テレビの討論番組で、話し合いが高め合ってる姿、見たことあります?

 

まして、こういう種の話し合いって、教室内でのパワーバランスが左右しますから。

声の大きい者の意見が優れた意見として採用されてしまう。

「自己主張が得意=優れた意見」になってしまうことは危険です。

 

一方、こんなのはどうか。

みんな仲良く、3分の1ずつ味噌を足して味噌汁とつくろう。

うん、平等だ!って。

 

そんな味噌汁飲みたくないよ。

 

じゃあ、高次に学びが引き上げられるってどういうことなんでしょう。

 

考える視点を与える

「赤味噌派」の子が、こんなことを言い出すんですね。

「ウチの県で有名な野菜は◯◯じゃない?◯◯を味噌汁に入れるなら、どの味噌だろう?」

 

ひとつの視点が生まれました。

視点があると話し合いは変わります。

こういうことを意図的に生み出すのが、課題設定ってヤツです。

 

すると、「白味噌派」の子がこんなことを言い出します。

「ねぇ、ウチのクラスの子たちの家では、どんな味噌を使ってるんだろう?具はなにが入ってるのかな?」

 

また、ひとつの視点が生まれました。

 

すると、「合わせ味噌派」の子がこんなことを言い出します。

「なるほど、日本全国ではどの味噌が使われてるのかな?」

 

考えたことがつながり、学びが高次へ引き上げられていくイメージです。

こんな授業なら、子どもたち生き生きと学習に取り組みます。

 

大事なことは、学びの場をつくること。

そして、子どもたちが話し合わずにはいられない課題の設定です。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 学びを高次に引き上げるために、教え合ったり議論に持ち込ませない工夫をする。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。