杓子定規よりグレーを愛そう
お弁当が食べられない子
たびたびお弁当を忘れてくる子がいました。
そのたびにお母さんの電話で連絡を入れます。
「お母さん、届けていただけませんか?」
ですが、返事は決まってこうでした。
「忘れた本人が悪いんだから食べさせるな」
そんなことが何度もありました。
忘れ物の多い子、提出物の出せない子でした。
たぶん、そういうことがとっても苦手なんです。
家を出る前に、「お弁当持った?」って一言聞いてくれるだけでいいのに…。
想像してみてください。
教室に一人、食事ができない子がいるんです。
みんなが美味しそうにお弁当を広げている。
楽しそうにおしゃべりをしている。
そんな中にひとり、ポツンとご飯を食べられない子がいるんです。
ですが、その学校では先生が生徒にお弁当を買ってはいけないという取り決めがありました。
僕は始めは、そのことを知りませんでした。
途中で指摘されて知り、でも、まあ…、つまり…、その…、それでも僕はコンビニへと走りました。
だってさ、そんな姿を見ながら僕は自分のご飯、食べられないよ。
生徒指導部長である僕が自ら、学校のルールを破る。
ずいぶん批判もされました。
何度も生徒指導部の議題にもあがりました。
さあ、あなたならどうしますか?
自分の魂が求める方が正解だろ?
学校で仕事をしていると、教室での実情と学校のルールが合わないことはよくあります。
そんなとき、あなたはどうしますか?
学年主任をしていると「どうしたらいいですか?」とよく質問されます。
そんなときは「どうしたいの?」、そう問い返すようにしています。
「わかりません」
そんな返事が返ってくるとガッカリします。
「どうしたいか」がわからない人の背中は押せません。
覚悟がないからです。
良いか悪いか?
白か黒か?
そんな簡単には決められません。
白と黒の間には、無限の色が広がっています。
毎日がジレンマの中で生きてるんです。
校内での取り決めやルールがあります。
僕は山ほど破ってきました。
全部杓子定規で守れるわけがないんです。
もうね、ここに書けないようなことだらけです。
そんなの、たぶん長いこと「学校の先生」やってたらね、普通のことです。
もうね、結構ギリギリのところを行ってるはずです。
決められた業務だけやってて、目の前の子どもたちハッピーにできるわけないんですよ。
でもね、間違えちゃいけないことがあります。
取り決めやルールは、守るべきものです。
みんながみんな、「そんなの関係ねぇ〜♫そんなの関係ねぇ〜♫」ってやってたら、学校は学校でなくなります。
なにも、ルールを破っていいなんて書いてるつもりはありません。
だけど「目の前の子どもたちのハッピーのため」だったら、そこから飛び出せる覚悟が必要なんじゃないの?って思うわけです。
僕が謝ればいい。
僕が叱られればいい。
僕が嫌われればいい。
それで、目の前の子がハッピーになるなら、僕はそれでいい。
そういう覚悟があるから、学校の先生という仕事は志事になるんです。
だからね、「どうしたらいいですか?」なんて質問、僕は嫌いです。
「どうしたいの?」が大事なの。
「叱られたり、謝ったり、嫌われたりするぐらいなら、この子が我慢すればいいじゃん!」って思うなら、そうしなよ。
自分の魂に問いかける。
「オレ、どうしたいんだろ?」ってね。
そしたら、ちゃんと魂は教えてくれるからさ。
「オレ、クビになってもコイツに飯食わしたいわ!」
そんな覚悟がいるんです。
ハッピーな先生になるためのステップ
覚悟はあるか、魂に聴いてみる。