その存在こそが、神ってるんだぜ♪
Because you are you.
あるところに、とても貧しい暮らしをしている子どもがいました。
彼は、貧しい人々を収容する救済施設で過ごしていました。
そこでは、大人と子どもは別々に収容されます。
彼は母親と離ればなれで暮らしていました。
ある年のこと、彼は非常に伝染力の強い病に冒されます。
隔離病棟に移され、髪を丸坊主にされると、頭皮に薬を塗られました。
その姿は無残で、幼い心をより惨めにさせました。
隔離病棟での日々は大変孤独なものでした。
そこへ母親が面会に現れました。
彼女は微笑みながら近づくと、彼を抱きしめ、こうささやいたのだそうです。
「どんなに汚くてもいいの。
どんなあなたでもいいの」
強い伝染病にかかっている我が子を、彼女はためらいもなく抱きしめました。
この出来事を、彼は生涯忘れることがなかったのだそうです。
I love you,because you are you.
(愛している。なぜなら、あなたがあなただから)
無償の愛を注いでくれる人がいる。
たった一人でいい。
そんな人がいてくれるだけで、人は強くなれるのです。
ただ愛するということの尊さ
もともと舞台芸人であった母親。
身体を壊し、舞台に立てなくなってからも、子どもたちのリクエストに応えて、自分の芸を子どもたちにだけは見せてあげました。
亭主と別れた彼女は、たった一人で身を粉にして働き、彼をを養いました。
どんなに貧しくとも、彼女はイライラしたりなどせず、彼に微笑み続けました。
あたたかく声をかけ続けました。
いつもいつも母親は彼の味方でした。
やがて、彼は喜劇王として名を馳せることになります。
そう。
彼の名はチャップリンです。
その存在こそが素晴らしい
この話は多くの示唆に富んでいます。
「無償の愛」が人を強くするということ。
これは一番お伝えしたいことでした。
しかしながら、僕が今ひとつお伝えしたいことがあります。
大阪府が次のような調査を行ったのだそうです。
対象は府内30市町村の小学5年生の児童と中学2年生の生徒。
8000世帯を対象にしたアンケート結果をもとに、経済環境と学習状況の関係などを調査したんだそうです。
その結果、経済的に最も困窮している家庭では、学校の授業以外の勉強時間が30分未満という割合が3割を超えました。
また、「子供の学習意欲が低い」という結果も出たのだそうです。
この手のお話って、よく耳にします。
でもね、家庭環境が苦しくたって、一生懸命がんばっている子はいます。
逆に、裕福で、遊んでばかりで意欲というか、覇気のない子もいます。
すぐに統計で語りたがる。
一括りにして考えるのって、浅はかだなって思う。
100人いたら100通り。
1000人いたら1000通りあるの。
貧しい家庭の子はダメみたいな見方をしないです。
いやいや。そんなことはないですから。
やる子はやるし、やらん子はやらん。
数を勘定したら、割合的には多いのもしれないけどさ。
決めつけるなっての。
存在を認めてくれる人の存在
ただね。
やっぱり、どうしても忙しいと、子どもにかける時間が短くなります。
そういうご家庭もいっぱいあるよ。
お母さん、夜遅くまでお仕事でね。
懇談会もなかなかできないご家庭とか、あるよ。
どうしたって、子どものことまで手が回らないなんて家庭、いっぱいあるさ。
公立学校の先生なら、そういう実態、だれだって知ってる。
こんな家庭があったぞ!なんて話をさせたら、もう話題に事欠かないよね。
でもさ、じゃあ、そういう家庭の子が意欲が低いかって言ったら、全然そんなことね〜ぞ!って言いたい。
要はこちらの関わり方でしょ。
心に火をつけられるかどうかってことなのね。
I love you,because you are you.
(愛している。なぜなら、あなたがあなただから)
母親じゃなくたっていい。
だれだって、いいんだよ。
「お前はお前でいいんだぜ」って伝えてあげられたら、子どもは強くなれるんだから。
この子はこの子であるだけで素晴らしい。
つまりは、そういうことなのです。
子どもとつながる問いかけの魔法
その存在を認めることが、この子の心に明かりをともす。