「しつもん」で授業を組み立ててみる。

小学生の女の子とお母さん

授業にしつもんを取り入れる方法

しつもん1

 「気づいたことは何ですか?」

この「しつもん」、教材の導入はいつもこれ。

物語文だろうと、説明文だろうと同じ。

 

 

一読したら、まずこの「しつもん」をします。

で、これをノートに書かせる。

 

 

それで、学習班で伝え合う。

そしたらね、付箋紙に初読感想を書かせるの。

 

 

付箋紙は書けた子から、提出する。

教卓にA3用紙を置いておいてね、きれいに貼らせるの。

40人学級だと2枚必要かな。

 

 

それで、授業が終わったらそれをコピーして配布する。

A3裏表だけど、A4裏表に縮小してもOKかな。

全員の感想を一瞬でシェアできるよね。

 

 

で、こんなの国語科じゃなくたって使えるよね。

 

 

しつもん2

 「どんなことが書かれていますか?」

 

説明文や論説文では、この「しつもん」だね。

これはね、「答え」を箇条書きで書かせちゃうの。

 

 

「わかること」はすべて書き出させる。

これ、ポイント。

「すべて」って伝えておくといいよ。

 

 

で、これも学習班でシェアするの。

この場合、「すべて」だから、書き漏らしたものは学習班で補い合って付け加えておく。

 

 

で、これは理科でも社会でも同じなのね。

教科書って説明文だから。

どの教科でも使えると思うよ。

 

 

「この文章を読んでわかることを全部書き出しなさい」みたいな感じね。

「全部見つける」とか「10個見つける」とか、指示が明確なほど子どもは熱中するんだよね。

あとは、「見つけて線を引きましょう」とかね。

 

 

しつもん3

 「どんな学びがありましたか?」

結局、この教材で何を学ぶのさ?ってのが大事なわけ。

「ごんぎつね」ってこんな話なんだ〜〜で終わっちゃダメなわけよ。

 

 

「あらすじ」追いかけて「ハイ、終わり」みたいなのね。

「教科書で」教えているのであって、「教科書を」教えているわけじゃないからね。

 

 

けっこう「あらすじ」を追いかけちゃう授業ってあるよね。

まあ、子どもたちに丁寧に読むってことをさせてこなかったツケなのか、「あらすじ」を追いかけてあげないと、内容が理解できない子も多いからね。

 

 

「夏の葬列」を読んで、クラスの半分ぐらいが「結局ヒロ子さんは死んだの?死んでないの?」みたいなこともあったからね。

そのバランスは難しいよね。

 

 

まあ、でもさ、「教科書で何を教えるか」ってことは明確にしておきたいな。

 

 

 

キラークエスチョンを見つける

国語の場合、「主題に迫る」ってのが、なかなか難しいんだよね。

一言でいえばさ、結局作者は何を伝えたいんですか?ってことね。

 

 

「作者が伝えたいことは何ですか?」みたいなしつもんでもいいんだけど。

それ、けっこう答えづらいんだよね。

 

「この物語の主人公とあなたの共通点は何ですか?」とかも、物語文だと答えやすいかもね。

 

 

理科だと「この実験からわかることは何ですか?」みたいな感じかな。

歴史だと「この事件とこの事件の共通点は何ですか?」みたいな感じ?

 

 

結局、良い授業って発問なんだよね。

 

 

サッカーでいうキラーパスみたいな「しつもん」。

僕は「キラークエスチョン」って呼んでるけど(笑)

 

 

「走れメロス」を読んだときの「キラークエスチョン」はね、「メロスの行動のツッコミどころは何ですか?」だね。

「少年の日の思い出」のキラークエスチョンは「主人公の『人としてどうなのよ?』って思うところはどこですか?」とかね。

 

 

この「キラークエスチョン」を考えるのが、面白いよね。

んで、この「しつもん」はさ、1組ではうまく行ったのに、2組じゃうまく行かないとかもあるわけ。

 

 

問題は「しつもん」ではなく、そこまでの流れなんだけどね。

そこは「授業は生き物」ってことなんだよね。

 

 

だから、面白いの。

 

 

授業なんて「しつもん」で成立するもん。

まず、良質な「しつもん」(発問)をするでしょ。

その「答え」を子どもたちがノートに書くでしょ。

 

 

ノートに書かれた「答え」を僕は机間指導してチョイスするの。

んで、キラリと光る「答え」を見つけたら「板書しておいで」って言うの。

 

 

20人ぐらいに書かせたら、板書が埋まるのよ。

そしたらさ、それを見ながらこんなしつもんをするの。

 

 

しつもん4

 「根拠は何ですか?」

 

「答え」には根拠となる記述があるはずなのね。

それを答えてもらう。

みんなで見つけるのも「あり」かな。

 

 

で、根拠がなければ、この答えは「怪しいぞ」となる。

こうやって、教科書から離れないようにすることで、授業として成立していくわけね。

 

 

なんちゃってアクティブラーニングの人たちが、どんどん脱線していく教室をよく見かけるんだけど。

それはさ、教科書から離れていっちゃうわけよ。

 

 

少なくとも国語の場合はさ、物語文なり説明文なりがあるわけだから。

いつもいつも文章に立ち返るのね。

そうすると、道を誤らない。

 

 

文章から根拠を見つけていくのは大事ね。

結局、どの教科の教科書も日本語で書かれている以上、やってることは突き詰めたら「国語」なんだよね。

 

 

で、最後はこの「しつもん」ね。

 

 

しつもん5

 「この授業であなたが学んだことは何ですか?」

 

結局、ここが空っぽだったら、授業も空っぽなわけでしょ?

先生としては、むっちゃ反省だよね。

 

 

この1時間で「気づき」を生み出せなかったってことは、次への課題として持ち帰るといいね。

こういうこと、毎時間毎時間やっておくと確実に授業者としての能力は上がるもん。

 

 

では、最後のしつもんです。

 

魔法のしつもん

 この記事を読んで、学んだことは何ですか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。