「学校」だけを問題にする無責任さ


「学校では、天才は育たない」という。

イチロー選手も、羽生さんも、ダウンタウンの松っちゃんも学校行っただろうから、なんだか乱暴な言い方だよな…なんて思ってみたり。

 

 

ただね。

「学校は画一的な子どもを育てている」という批判は「なるほどな」と思う。

だって、その方が都合がいいんだもん。

でもさ、それって「学校だけの問題なの?」という話をしようと思う。

 

 

 

僕らはこれまで「良い学校を出て、良い会社に入れば、幸せになれる」という「成功モデル」を信じてきた。

結婚したら、盛大な結婚式を挙げなければならないし。結婚指輪は給料3ヶ月分と決められていた。

「マス・マーケティング」の賜物だ。

 

 

マス・マーケティングとは大量生産・大量販売・大量プロモーションを前提として、すべての消費者を対象に同じ方法で行うマーケティング方法を指す。

 

 

 

そうやって、大衆はコントロールされて消費行動を促される。

その点じゃ、バレンタインデーだって同じだよな。

 

 

 

「家族ができたら家を買うもの」という固定観念に縛られた人たちが家を買う。

住宅ローンを組み、定年退職まで働くことを強制される。

「ローンがあるから仕事をやめられない」という人は多い。

 

 

よくできた仕組みだと思う。

 

 

 

昔はテレビ・冷蔵庫・洗濯機が「3種の神器」とされた時代があった。

みんなが一斉にそれらを買ってくれれば、作り手は「何を作れば良いか」がわかりやすい。

企業も資金とマンパワーを投入しやすくなる。

 

 

アパレル関係にお勤めの方に伺ったら、ファッションのブームなど、ちゃんと数年前に決められているらしい。

そうでないと、布などが追いつかないらしく、「あ〜、なるほど」と思った。

 

 

まあ、つまり、僕らはちゃんとコントロールされてるわけだ。

 

 

 

みんなが画一的であってくれた方が、この国にとっては都合がよい。

おかげさまで、この国は高度経済成長につながった。

 

 

「みんな、貯金するよ〜」と声をかければ、みんなが貯金をし、「みんな、学資保険に入ろ〜」と声をかければ、みんなが学資保険に入る。

「自分で考える」ということはできるだけせず、周囲の空気を読める人を増やしてきた結果だ。

 

 

そのことによって、この国の経済力は一気に世界のトップに躍り出た。

それってすごいことだよね。

 

 

ところが、考えない人たちは、未だ日本の経済力がトップクラスであると信じている。

中国から大量に人がやって来て爆買いをする。

「中国人観光客がやって来て迷惑だわ」とか呟いてみる。

 

 

それは間違いだ。

日本人が貧しくなってお金を落とさなくなった。

そこへお金のある中国人がやって来てお金を落としていく。

 

 

彼らを見ればわかるけれど、決して中国国内で裕福な層が日本に来ているわけではない。

普通の人たちが貧しい日本にやって来て、大量に買い物をしていくのだ。

 

 

昔、日本人がアジア諸国に出かけてブランド物を買い漁ったように。

世界から見たニッポンは、もう昔の姿などないわけだ。

安い労働力を求めてアジアに進出していたけれど、今や非正規雇用という方法で安い労働力を国内で見繕うことができるようになってんだよね。

 

 

 

だから、思う。

学校が悪いわけではない。

学校だけをやり玉にすることに意味はない。

 

 

現状を「誰か」のせいにしようとする精神性が、すでに「画一的な人間」である証拠だ。

僕らは今、「考えない人」に囲まれて生きている。

 

 

政治について不満を持っている人はたくさんいるけれど、選挙には行かない人たちが過半数を占める。

文句は言うけど動かない。

そう言う人たちだ。

 

 

 

企業の定年が70歳に引き上げられるそうだ。

生活していけるだけの年金は、もうもらえないだろう。

 

 

でも、ほとんどの人はそのための準備をしようとはしない。

これはなかなか面白いことだ。

怒ってるだけで、それに備えようとはしない。

政治を動かそうとも思わない。

 

 

ただ、文句を言うだけだ。

これって、なかなか面白いことだ。

 

 

心のどこかで、「誰かがなんとかしてくれる」という思っている。

「画一的な人たち」は、みんなと同じが大好きだから、みんなが動かないなら自分も動かない。

 

 

学歴がモノを言わない時代が来てしまった。

人口知能が人間から職業を奪うと言う。

「知識偏重の学びは意味がない」なんて言う。

 

 

そう言っておきながら、学習塾に入れて点数に一喜一憂する。

みんなが「人工知能で大変だ!」と言うから、よくわからないけれど「大変だ!」と叫び、みんなが「点数」を気にすれば、一緒になって「点数」を気にしてみる。

 

 

このご時世に、まだ「お受験」とか、がんばっちゃう。

好きでやってるならいいよ。

親と子供が苦しみながら、そんなことをまだやっている。

これもまた、面白い現象だよ。

 

 

「みんな違ってみんないい」という言葉が好きだけど、本当は「みんな同じがいい」と思っている。

「みんなと同じ」じゃないと不安になる。

 

 

そのうえ、「みんなと同じ」より少しだけ「上」を行きたい。

優越感に浸りたいのさ。

 

 

みんなが「東」へ進んだら、一緒になって「東」へ進む。 

みんなが「西」へ進んだら、一緒になって「西」へ進む。

行き先がどこかは知らないけれど、みんなと同じ方向に進むと安心する。

 

 

「学校では、天才は育たない」というけれど、結局「天才」というのは、みんなが「東」へ進もうが、「西」へ進もうが、自分が行きたい方向に行ける人だと思うんだ。

 

 

つまり、問題は「学校」ではない。

「あなた」だ。

「私」だ。

自分自身だよ。

 

 

人生ってさ、100人いれば100通りの人生があるわけじゃん?

自分だけのオリジナルでしょ?

もう、みんなと同じであることに安心するのはやめようよ。

みんなと同じだったら焦ろうよって思うんだよな。

 

 

あなたに贈る魔法の質問

人と同じで安心したことはありませんか?

 

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。