不便を解消し、不満を解消した先に何があるのか。


昔のビジネスは「不便」からスタートしている。

「不便」を「便利」にすることが始まりだった。

 

 

水を汲みに行くのは不便だから水道が生まれた。

トイレを垂れ流したんじゃ不便だから下水道が整備された。

 

 

大阪から東京まで何時間もかけて移動するのは不便だから新幹線が生まれた。

遠くにいる人と話がないと不便だから電話が生まれた。

 

 

「不便」を見つけ「便利」にしてきた結果、僕らは生活の中で「不便」を感じることが少なくなった。

 

 

すると、今度は「不満」を見つけて、「不満」を解消することが仕事になった。

そもそも、不満を解消するものって、なくても困らない。

なくても困らない時代があったのに、「ある」を経験すると「ない」が不便になるから不思議だ。

 

 

僕らが子どもの頃なんて、カーナビは存在しなかった。

道は覚えられたし、地図も見ることができた。

 

 

残念ながらカーナビが生まれ、僕らは馬鹿になったと思う。

道、全然覚えられないし(覚える必要がなくなっただけだけど)

 

 

電車の乗り継ぎだって、事前に調べておく必要がなくなった。

スマホで調べれば、すぐに答えが出る。

したがって、路線図も全然頭に入らなくなった。

 

 

最近は検索すらメンドくさいと、アレクサに話しかければよくなった。

amazonは購入しなくても定期的に物を運んでくるようになった。

 

 

「不満」を「満足」に変える仕事って、それが生まれる以前はそれほど「不満」ではなかった気がする。

換言すれば、僕らは「満足」を手にいれたと同時に、「不満」も手に入れてしまったのだ。

 

 

スマホを忘れたときの困ったことといったらない。

PCとスマホを忘れると、僕の全機能の80%は停止しているように思う。

 

 

「amazon go」というレジのないコンビニが生まれた。

レジを通さなくても、すべてカメラで購入物品を把握し、のちほど電子決済されるらしい。

 

 

日本でもユニクロやスシローに行くと、レジがセルフになっていて驚いた記憶がある。

それのさらに進化したバージョンだと考えていいだろう。

 

 

そんな話をすると、コンビニやスーパーの店員はやがて機械に仕事を奪われると心配する声を耳にする。

 

 

でも、もう一つ、面白いことをお伝えしよう。

前述の「amazon go」にも、ちゃんと店員がいるらしい。

店員が店内を巡回し、困っている人に声をかけたり、疑問に応えたりしているらしい。

 

 

つまり、人間にしかできない仕事を人間がし、機械で事足りる仕事は機会がしていることがわかる。

要するに人間と機械の分業化である。

 

 

時代が変化するスピードはどんどん加速している。

教育の世界や子育ての現状だけが、どこか「昭和のまま」で時計の針が止まっているような気がしてならない。

 

 

何が正しくて、何が間違いか。

そんなことはどうでもいい。

 

 

とにかく変化できること。

時代の流れを感じ、時代に合わせられるスピード感が大事だ。

 

 

不便をすべて便利に変えてしまった僕らは今、懸命になって「不満」を生み出している。

 

 

コードレスホンがなかった時代。

電話がかかってくれば、電話機の前に行くのが「当たり前」だった。

それを「不満」に感じることはなかったのだ。

 

 

不思議なものだ。

人間の欲には際限がない。

 

 

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。