「察する」ということが廃れていく中で

野澤卓央さんとのコラボ講演

この国の文化は「察する文化」です。

「みなまで言うな」の文化なのです。

 

 

ところが昨今はどうも、この「察する」という能力が低下しているように思えます。

まあ、損得の時代になりましたな。

 

 

「察する」とどうも仕事が増える。

損得で言えば損。

 

 

バカのフリして気づかぬ方が何かと都合がよろしいのでございますな。

 

 

奥さんが困っている。

「おお、手伝おうか?」なんて察しのいい旦那もいますがね。

 

 

そうやって、あんまり察しがいいと、今度は女房が図に乗る。

やれ、あれをやってくれだの。

やれ、これをやってくれだの。

 

 

まあ、そんなわけで、家庭においても、職場においても、察しの悪い人が増えてきましたなぁ。

 

 

「あぁ…、困ったわぁ…」なんて言う。

関わりあっては面倒と、見て見ぬふり。

それから、聞こえぬふり。

 

 

だから昨今はね、「リクエストをちゃんとしなさいよ」なんてアドバイスを女性陣に送るわけです。

言わなきゃわかりませんよ、って話なのです。

 

 

察しが悪いんじゃない。

察しないように努力してるんですからね。

 

 

ちゃんとリクエストしてあげたら、もう察さないわけにもいかないってなもんよ。

目に入って耳に入ってんだからね。

そっちが察しないつもりなら、こっちが察しさせてあげようってなもんよね。

 

 

まあ、こうやってね、合理的だの、効率的だの、損得だの。

そんなつまらないことが、私らの周囲を覆い尽くしてからというもの、まあロクなことがないんだよね。

 

 

以心伝心。

言わずもがな。

察する文化の日本でございますよ。

 

 

言葉はなくとも、相手の気持ちを察することができる。

思いやりの国の住人でございますよ。

 

 

いやはや、もっとあたたかい国でございましたな。

 

 

電車に乗っていたら、満員電車にご老人。

立ったまま、立たせたまま。

 

 

優先席に座るサラリーマンや学生。

ここまで来ると、「察する」を通り越して「図々しい」の一言。

で、まあ、それに関わり合っちゃ、また面倒臭いと周囲も知らぬふり。

 

 

 

いつからでしょうな。

この国がこんなことになってしまったのは。

 

 

令和最初のお正月。

 

 

あたたかい国でありたいものです。

あたたかい年でありたいものです。

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。