タイムスリップして気がついた昭和の不便さ
変な夢を見た。
小学6年生にタイムスリップする夢だ。
目が覚めたら小6。
そんな夢を見た。
僕らのクラスの先生は、ひどく子供を殴る先生だった。
体罰、いや、もはや暴力。
とにかく殴る。
小6にタイムスリップした僕は、彼を糾弾しようと考えた。
まずは証拠を押さえよう。
教育委員会やマスコミに訴えるためにも証拠は不可欠だ。
が、しかし、スマホはない。
まだ、この世に存在しない。
う〜ん、『写ルンです』しかないぞ。
現像しなきゃいけないし、動画も撮れない。
撮影するたび、ジーコー♪ジーコー♪っってフィルムを巻かなきゃな。
音声データを録音するか。
テープーレコーダーだ。
大きい…、隠し撮りできるか?
カセットテープの複製は?
コピペできない。
昔流行ったWラジカセでひたすら複製を作るのか。
よし、マスコミと教育委員会に送りつけてやろう。
あれ?
住所ってどうやって調べるの?
インターネットがない時代って、僕らはどうやって情報を集めていたのだろう?
図書館に情報があるだろうか?
タウンページで調べて電話で尋ねるしかないか。
郵便局に行って送らなきゃな。
なんかスゲー面倒くさい。
やり取りは自宅の電話か…。
親が出るじゃん!
今の世ならスマホで動画を撮って、メールで送れば一瞬で片がつく。
いや、マスコミになんか送らなくても、youtubeとtwitterにアップロードするだけか。
昔が遅いのか、今が早すぎるのか。
スピード感が違う世界だよね。
たまに、タイムスリップしたら、って考えること、ない?
僕はあるのね。
小6の僕の部屋には、スマホもパソコンもない。
Wi-Fiは飛んでない。
新聞と、児童書と、週刊少年ジャンプ。
やること、ないな…。
勉強か…。
小6の勉強を大人の僕がやって、「面白い!」って思うだろうか?
まして、朝から学校に行って、小6の友達の会話についていくわけ。
いや、もう、絶対飽きるって。
見た目が子供で頭脳は大人の僕が、小6の女の子と恋愛になることもないだろう。
親友ができるとも思えない。
うん、こりゃ、不登校になるな、絶対。
暇つぶしのためにはお金が結構かかりそうだ。
だが、この時代の小学生には稼ぐ手段もない。
インターネットがない時代の小学生には「お手伝い」で「お小遣い」をもらう以外に稼ぐ方法がないのだよ。
お金をかけずに時間を潰す…。
とりあえず、自転車で図書館に行くか。
その時代の本で、僕の頭が満足するか、疑問だけど。
文章書くのにワープロぐらい欲しいな。
あ〜、お金がかかる。
でも、あの頃のワープロって、1行しか表示されないよね。
だったらノートで十分か。
こんなことをウダウダ考えてたら、夜が明けた。
いやはや、タイムスリップしたら、退屈だ。
現代社会をたくましく生きた方が楽しそうだ。