「正しさ」で人は傷つけ合うから、この世界にはたくさんの「正しさ」があることに気がつきたい


ものの見方や感じ方というのは初期設定ですから変えられるものではありません。

考え方は変わることもあるのですが、これはご本人の経験から生まれたものであり、他者が意図的に変えることはできないんですね。

 

 

本を読んだり、話を聞いたり。

これもまたその人の経験。

新たな経験が加わることでも、考え方は変わります。

でも、それは自分自身が変わろうとして変わるのですね。

 

 

こちらが何らかの意図をもって「この本読んでみて」と書籍を渡してみたところで、その本を読むことでその人の考え方が変わるかはわかりません。

「全然響かなかった」と言う人もいるでしょうし、「すごくよかった!」と言いながら何も変わらない人もいます(笑)

 

 

人のものの見方や感じ方、考え方は他者がどうこうして変わるものではないんですね。

意図して変えられるものではないのです。

 

 

それを僕らは変えようとします。

自分自身ですらコントロールできない僕らが、なぜだか他者だけは変えられると信じている。

これほど滑稽なこともないでしょう。

 

 

子どもが変わらない!

部下が変わらない!

先生が変わらない!

 

 

変わらないことに悩むのは不思議なことです。

変えられるのは自分だけなのです。

 

正しさの戦争の中で

自分は正しくて、相手は間違っている。

そんな視点で生きていると、人は「正しさの戦争」の中で暮らすことになります。

 

 

Facebookを眺めていると、「コロナは危ない派」と「コロナはただの風邪派」の人がいます。

「ワクチン打とう派」と「ワクチン危ない派」の人もいます。

 

 

互いに自分の正当性を主張し、「相手を間違っている」とやり合っています。

「こんな情報があった、だから僕らが正しい」と、いろんな情報をシェアし合っています。

 

 

この世界はそれぞれの「正しさ」でできています。

インターネットは「正しい情報」ではなく「見たい情報」を検索して表示します。

その情報は「正しい情報」ではなく「見たい情報」なのです。

 

 

「コロナは危ない派」の人の検索ワードは自然と「コロナは危ない論」へと辿りつかせ、「コロナはただの風邪派」の人の検索ワードは自然と「コロナはただの風邪論」へと辿り着かせます。

ワクチンのお話も同じです。

「ワクチン打とう派」の人には自然とワクチンは役に立つという情報が集まってきて、「ワクチン危ない派」の人にはワクチンが危ないという情報が自然と集まってきます。

そうやって、「自分の考え」というものは、どんどん凝り固まっていきます。

 

 

「反対側から眺めてみる」ということをしません。

別の視点をもつこともしません。

歩み寄ることもしません。

 

 

「私は正しい。あなたは間違っている」という視点で眺めていますから、いつも話は平行線です。

議論と呼んでいますが、深まることはないんですね。

 

 

「私はこう思う」でいいのです。

でも、なぜか僕らは「あなたは間違っている」を付け加えてしまう。

 

 

他の人がどう思うかは、他の人の自由です。

あなたがどう思うかはあなたの自由なように、他の人がどう思うかは他の人の自由なのです。

 

 

変えられないものを変えようとして私たちは苦しみます。

人と人がぶつかるのはこんなときです。

「自分の正しさ」で戦争を仕掛けると、傷つけあうことになります。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。