ダイバーシティ(多様性)って、言葉で語るほど簡単じゃないよね


ダイバーシティ(Diversity)とは多様性。

よく耳にする言葉である。

ちなみに、対義語は「宇宙」「統一」を表すユニバース(Universe)。

そこから考えると、「みんな違ってみんないい」ってのはダイバーシティだな、と思う。

 

 

ところが、この「多様性」ってのは頭で思うほど簡単ではない。

 

 

最近、LGBTQの話を学校の先生たちの集いで話題にした。

これがなかなか奥が深い。

 

 

まず、僕が調べた限り、「性」について4つの視点で考える必要がある。

 

1番目に身体的な「性」である。

それは「男」と「女」しかないだろうと思ったら、そうでもないらしい。

 

 

男性の身体から女性になった人は、女性と同じ身体ではない。

女性の身体から男性になった人もまた、男性と同じ身体ではない。

 

 

さらに、変わりかけ…と表現したら語弊があるか。

その途中の人もいるし、その途中のまま過ごす人もいる。

 

 

そうやって考えると、この身体的な「性」というだけでも、多様である。

ちなみに、僕は身体的には「男性」である。

 

 

では、続いて2番目。

自分が「男性」か「女性」、どちらを自認しているか、という「性別」である。

 

 

これはもう、「男性」か「女性」のどちらかだろう、と思ったら「時と場合による」なんてご意見もあって、「えっ?そんなことある?」と思ったわけで、僕はダイバーシティの感覚が不足しているのだ。

なるほどな、と思う。

 

 

最初に「多様性」って簡単なようで難しいよね、と書いたのは、これである。

僕らはまだまだ、自分の中に培われた「常識」で物事を考えるところがあるのだ。

 

 

3つ目の性は「性的嗜好」である。

「男性」が好きか、「女性」が好きかってことなんだけど。

これも時と場合による、という人もいるし、どちらも良い、とか、どちらでもない、ってのもあるらしい。

 

 

そういう僕のちょっと変な性癖をカミングアウトしておくと、いわゆるレズ物(同性愛の女性同士のカラミ)の動画を見たとき、僕は何も感じない自分を発見した。

 

 

なんの話だ?と思うかもしれないけど、容姿が女性であっても性的嗜好が男性に向かっていないときは、僕の心は動かないように思う。

なお、体験したことはないので、絶対とは言い切れないが。

 

 

逆に、身体が男性で中身が女性という人の動画も見たことがあるのだが、これはこれで、なんとなくイケる気もした。

あっ!これも未体験ですけど。

 

 

外側が男性でも、中身が女性ならば、それは女性なのではないか、と思っている。

ちなみに、以前ゲイバーに連れて行かれたことがあるのだけど、外側も内側も男性で、性的嗜好が男性という場合は、僕はやっぱりちょっと違うな、と感じている。

 

 

いや、なんかもう、だんだんよくわからなくなってきた。

 

 

んで、最後、4番目は性表現としての「男女」らしい。

女性みたいな格好をしたい男性もいるし、男性みたいな格好をしたい女性もいる。

 

 

僕などは幼いころ、母親の化粧品を持ち出してメイクをした経験があるからか、そういうの、嫌いじゃないな、と思う反面、その格好をして外を歩きたいな、という欲望はない。

 

 

でも、メイクしたり、髪を綺麗にできる女性っていいな、と思う。

その点で、僕はちょっとだけ女の子になりたい願望があるわけだが、じゃあ女装したいかというとそれはない。

 

 

ただ、綺麗な人を眺めているのはこの上なく楽しい。

恋愛対象として眺めているのではなく、ただぼんやりと眺めていると楽しい。

 

 

それでいて、ノーメイク、伸びたスエットの女性を見かけると、すごく残念な気持ちにもなる。

まー、そんなことはどうでもいいんだけど。

 

…というどうでもいい性的カミングアウトを聞いて、「なに、この人?」と思った人もいると思う。

そういう人はすでに多様性を認められない人よね、と思う。

 

 

それも含めて「僕」なわけで、その存在そのものを否定することなく、「うん、そうなんだね」と受け止めていただけたら最高です。

 

 

ってなわけで、「性」というテーマひとつで区切っても、むちゃくちゃ多様なのだ。

それを受容するってことは、頭の中ではわかっていても、心がどこか反応してしまうのである。

仕方ないよね、って思う。

 

 

生き方や文化だってそうだ。

本当にいろんな生き方がある。

 

 

 

夫婦の形もそれぞれだし。

一夫多妻制の夫婦とか、けっこうネットで叩かれてたな。

不倫して、それでも一緒にいるって決めた芸能人カップルを見て「かわいそう」なんてコメントがあってね。

いいじゃん、いろんな選択肢があって、とも思う。

 

 

 

働き方もそれぞれだし。

自由だよ。

 

 

この多様性を認めにくい文化が日本にはあると思うのね。

こうあるべき、が強いよね。

文化だから、仕方ないのよ。

 

 

「いろいろあるよね」で片付けば早いのだけど。

僕らはどうしたって、「そんなの間違ってる〜!」って気持ちにさせられる。

 

 

ダイバーシティ(Diversity)とは多様性。

言葉にすると一言だけど、これは心の方に落とし込むのが大変だよね、と思う次第でございます。

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。