慕われるリーダーは、設定を変えない代わりに例外を認める


一度設定したルールをコロコロ変える人がいます。

これは目標でも同じですし、タスクでも同じです。

設定したことをコロコロ変えると信頼を失います。

 

 

会社の経営者にしろ、学校の先生にしろ、スポーツチームの指導者にしろ。

リーダーは設定したものをコロコロ変えては行けません。

それはなぜでしょうか。

 

 

世の中の40%にあたる□タイプは、設定されたルールをきちんと守ろうとします。

ルールは守りますし、目標は達成しようとするし、タスクはこなします。

それが当たり前のことだと思って生きています。

 

 

この「リーダーの設定」を、リーダーがコロコロと変えてしまうと、どんな気持ちになるでしょうか。

当然ですが、「あれは何だったのか?」という気持ちになるのです。

 

 

この40%の□タイプは組織において推進力となる人間です。

きちんと決められた期限で決められたことをするタイプ。

この人たちのモチベーションを下げるということは、そのまま組織の弱体化を意味します。

 

 

ですから、コロコロ変わるリーダーは信頼されないのです。

昨日は「あー」言ったのに、今日は「こー」言っている。

そんな人間の発言を信頼するわけがありません。

 

 

一方、組織を動かしていると、「例外」が必ず発生します。

たとえば、ノルマの決まった仕事がある。でも、それは間に合わない。

そんなことってあると思うのです。

 

 

そんなとき、「じゃあ、仕方がないよね、ノルマを少なくしよう」と言い出したら、ノルマを達成した人間は頭に来るでしょう。

「だったら、がんばらなかったのに!」となります。

 

 

がんばっている人間を腐らせる。

そういうリーダーは最悪です。

 

 

決めたことを変えてはいけないのです。

でも、今度はただの頑固者に映ってしまう。

それもまた、困りものです。

 

 

そんなときは、こう考えます。

まず、達成できるノルマであったと仮定すれば、達成できなかったのにはそれなりの理由があると思うのです。

 

 

 

子どもが熱を出して、早く帰らなきゃ行けない日が続いた、とか。

本人が体調を崩していた、とか。

ちなみに、何の原因もなくノルマが達成できなかったとしたら、そのノルマの設定自体がおかしいことになります。

ルールでも、ノルマでも、タスクでも同じです。

理由もなく守れないなら、設定がおかしいのですね。

 

 

ですから、できなかった理由を明確にした上で、まず組織に属する人全体に確認するのです。

「こうこう、こういう理由でノルマが達成できなかったので、今回は許してあげてほしい」と。

 

 

□タイプに必要なのは納得感です。

納得さえできていればいいのです。

 

 

きちんと理由を伝えたうえで、例外を認めるだけでいいのです。

「今月はお子さんが風邪でお休みが続いたから、彼女はノルマを達成できなかったけど、みんなでカバーしよう」と。

こういう気配りが信頼を集めます。

 

 

慕われるってそういうことの積み重ねなのです。

 

 

昔、僕のクラスにどうしても宿題が出せない子がいました。

宿題が出せなくて、学校に来づらくて、欠席がちな生徒でした。

 

 

僕はクラスのみんなに伝えました。

「宿題が出せないことが原因で学校に来れないから、この子だけ宿題を出さなくてもいいようにしたいのだけど、どうだろう?」

 

 

幸い、子どもたちは僕の考えに賛同してくれました。

「宿題を出す」というルールは変えていません。

でも、「宿題を出さない」という例外をみんなで承認しました。

 

 

学級担任である僕が、「宿題なんて出さなくていい」と言えば、真面目に宿題をやってきた子は傷つきます。

設定は変えなくてもいいのです。

 

 

例外を認め、みんなで承認する。

みんなの納得感を生み出せるのがリーダーです。

 

 

そういう決断を勇気をもってできる人間だから、慕われるのだと思います。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。