夫にイライラ!妻にイライラ!互いの「負担感」を理解し合うことが、夫婦のイライラ解消につながる


2月から妻が教育現場に戻った。

実に10年ぶりに小学校の先生に復帰したのある。

 

 

朝早く家を出て、子どもたちが夕飯を食べ終わる頃に帰宅する妻。

当然、職場でやりきれなかった仕事を持ち帰り、コタツの上に広げる。

毎日、日付が変わるまで丸付けやら、翌日の授業準備に余念がない。

 

 

一方、僕も2月からは専業主夫として、家事の一切を取り仕切っている。

いや、正確には専業主夫ではなく、これまでの経営者としての仕事と並行して、家事を行なっているのである。

 

主夫として

夜のうちに、朝食の準備は終えておく。

準備と言ったって、米櫃から米を3合取り出し、数分研いで、水を注いで炊飯器に入れて、予約ボタンを押す。

こんなことは5分もあれば終わる。

 

 

世の男性は、このぐらいのことはやった方が良い。

 

 

続いて、味噌汁を作る。

これも10分もあれば終わる。

冷蔵庫の野菜を細かく刻み、鍋に入れて、ひとつまみ塩を振るう。

蓋をして10分ほど火にかけると、いい匂いがしてくる。

その間に、前述の米を研いでおくと良い。

 

 

蓋から水蒸気が漏れてきたら、水を注ぎ一煮立ちさせる。

火を止めて味噌を溶く。

昨夜は豆腐を投入しておいた。

余熱で十分である。

 

 

洗い物は済ませておく。

台所をきれいにしておくと朝が気持ち良く始まる。

すっきりした気分で床に就くのである。

 

 

朝はゆっくり目覚める。

7時過ぎには、妻が出勤する。

僕は子どもたちと同じくらいに起きてくる。

 

 

朝の妻はバタバタしていて忙しい。

まー、朝に限ったことではないが、いつもバタバタしている。

「行ってきます!」と言って出ていったはいいが、また戻ってくる。

そんなことを2〜3回繰り返してから出かけていく。

家族はもう慣れたもので、誰も驚かない。

 

 

出かけしなに、洗濯機から仕上がったばかりの洗濯物が詰まったカゴを僕の前に置く。

「時間がないから干しといて」と言う。

その言葉に僕はイライラとする。

 

「何もしなくていいって言ったじゃん!」

と言う。

なぜ、いつもこうなのだろうか。

夫婦はそんなことの連続である。

 

洗濯機を動かすタイミング

僕は僕のペースで仕事がしたい。

頭の中には完全なスケジューリングができていて、作業後は理想の部屋の状態が描かれている。

 

 

僕の中で洗濯物は全員が家を出た後に行いたい家事なのである。

なぜなら、この後も子どもたちの脱いだパジャマや使ったタオルが洗濯カゴに入れられる。

それらすべてを洗濯して干したい。

すべて片付いている状態で仕事に行きたいのである。

 

 

ところが彼女は彼女で、全部やってもらっては悪いと思うのか、何か少しでも役に立ちたいと思うのか、少しだけ手を出す。

それはそれで、連れ添って長いので理解しているつもりなのだけど、どうも彼女は僕という人間をいまいち理解できていないように思えてならない。

万事がこんな感じなので、リズムが合わない。

 

 

「何もしなくていいから、自分のことに集中しなよ」と言う。

「家族のことはいいから、自分の支度を早くやりなよ」と言う。

 

 

「何もやらなくてもいいよ」は彼女を気遣って言っているわけではなく、僕が僕のペースで仕事をするために言っている言葉である。

 

 

家事をしながらブレストする

洗濯物を干したら、鍋や食器を洗う。

朝食分の食器なので、それほどの量はない。

三角コーナーの生ごみを処理し、キッチンは雑巾掛けをして、水気をなくしておく。

 

 

気持ちの良い状態を作っておくと、夕飯の調理も気持ち良く始まる。

このあたりも妻とはかなり価値観が異なっている。

 

 

彼女はキッチンが片付いていなくても料理を始める。

僕は料理をする前にキッチンを片付ける。

これはもう互いの「違い」であって、どちらかの「間違い」とは思わない。

 

 

料理後に片付ける妻と片付けながら料理をする僕。

これもまた「違い」でしかない。

 

 

干してあった洗濯物は畳んで、それぞれの分を仕分けしておく。

「自分の分は自分で片付ける」を基本としている。

子どもたちも面倒臭いのか、パジャマは2回着るなど、洗濯物を減らす努力をするようになった。

 

 

ちなみに、妻は畳んだ洗濯物をカゴに入れて、クローゼットに運ぶ。

問題はここからで、運んだはいいが、その後放置されることがたびたびあり、子どもたちは仕方なくカゴからひっぱり出していく。

すると、当然きれいに畳んだものがどんどんグチャグチャになっていき、やがてクローゼットの中に散乱することになる。

 

 

「これはやめよう」と何度も言っているのだけれど、一向に改善される感じはしない。

どうしてこうも頑固なのだろう?と思うけれど、半分「仕方がないよね」と理解している。

 

 

一通り家事が終わったら、掃除機をかける。

生活の拠点となる1階は毎日、2階は2日に一度のペースで掃除する。

トイレは用を足した後、ついでにやっておくことが多い。

 

 

家事をしている間、頭は仕事のことを考えている。

コンテンツづくりやビジネスの展開を一人でブレストする最良の時間である。

 

 

身支度を整え出勤する。

出勤のついでにゴミを捨てに行く。

 

 

そうそう、今日は灯油が少なくなっていたので、灯油を継ぎ足しておく。

帰宅した人が寒くないように、ストーブはいつでも火が灯せるようにしておく。

 

 

なぜ理解がイライラを解消するのか

不思議なものだ。

妻が職場復帰する以前は、帰宅するとため息の連続だった。

(1日中家にいて何をしていたの?)と思った。

 

 

仕方なしに溜まった食器や鍋を洗う。

食卓を布巾で拭く。

疲れた身体にさらに疲労感が増すのである。

 

 

ところが今はどうだろう?

僕は喜んで家事をやっている。

妻が働き始めた。

ただそれだけである。

 

 

働いているんだから、家事ができなくても仕方がないよね、と理解している。

1日中家にいて、家事ができていない妻を見てイライラし、仕事に行っていて家事ができていない妻にはイライラしない。

これはどういうことだろうか。

 

 

家事の量は、今の方が明らかに多い。

「多い」ということは、僕の負担は大きいわけだ。

でも、不思議とイライラはしない。

負担は大きいが、負担感は少ない。

この気持ち、伝わるだろうか。

 

 

家事や育児をしない旦那さんにイライラする、という話をよく聞く。

一方、旦那も旦那で、働かない奥さんにイライラしていたりする。

面白いものだな、と思う。

 

 

共に外で働き、家事や育児も互いにやってみたらいい。

相手の大変さは、やはり相手の立場にならないとわからないのだろう。

 

 

余暇を自由に楽しんでいる奥さんがいる。

その姿を見て、旦那さんはイライラしているという。

そんな旦那の気持ちがわからない、と言う。

 

 

僕には旦那さんの気持ちも痛いほどわかる。

「「あなたも自由にしたらいいのに」と言うのだけど、我慢しているみたい」と彼女は言う。

 

 

彼女の気持ちも、旦那の気持ちもよくわかる。

だからこそ、人間関係は難しい。

やはりこの気持ちは、それを担わなければ気づけないのかもしれない。

「負担感」というのは、背負ってこそ初めて気づける重さなのだろう。

 

 

男女の機会均等と言われて久しいが実情はどうか。

どうしたって、家事や育児の負担感は女性の方が大きい。

一方、家計を支えるという視点で見れば、一般的なご家庭の実情は、旦那さんの稼ぎによるところが大きく、その負担感を背負っていると言える。

 

 

この社会はまだまだ、そんなアンバランスの中にある。

相手が抱えている「負担感」に目を向けてみるといい。

負担量ではなく負担感である。

 

 

さあ、今晩は何を作ろうか。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。