守らせることができない校則なら、どんどん廃止した方が人間関係が良くなる!


TikTokをやっていると、中高生から「うちの学校にはこんな校則があります。どう思いますか?」という質問がよく届く。

 

「どうも思わない」が正直な感想で、話を聞いていると「そんなルールあるの?」と眉をしかめるものも多いけれど。

その学校に行くと決めたのはあなたなのだから、「仕方なくね?」と思う、ドライな僕がいるのである。

 

 

世の中には、いろんなルールが存在する。

「大人は自由でいいな」と子どもたちは思いがちだが、実際にはそんなことはない。

 

 

高級ホテルのスタッフや航空機の客室乗務員に「金髪でピアスをバンバン開けてます!」みたいな人はいない。

 

 

服装に決まりはないかもしれないが、やはり営業マンはスーツ姿である。

先日、葬儀場へ行ったら、スタッフは黒髪でメイクも極力抑えめであった。

 

 

どこに行ったって、身だしなみに関するルールは存在する。

そういう点では大人は決して自由ではないし、その不自由の中でいかに自分を表現する方法を学ぶかが面白いのだと思う。

 

 

とはいえ、学校には理不尽なルールも多い。

ルールにやたら厳格な先生がいて、厳しく注意したりもする。

一方、やたら事細かにルールが決められると、何が正しくて何が正しくないのかもわからなくなる。

 

 

以前赴任した学校には、「生徒指導マニュアル」みたいなものが存在していて、それがアホみたいに分厚かったのを覚えている。

 

僕はそういうのには、断固反対である。

ルールは少ない方が良い。

 

 

ルールを多くすると、「じゃあ、こういう場合は?」「もしくはこんな場合は?」とイレギュラーな事象についても言及することになる。

すると、さらにルールは細かくなって、わけがわからなくなる。

 

 

あるとき、生徒指導の先生が「生徒指導マニュアル」を指差して、「先生、ここにこう書いてあるんだから、ちゃんと指導してください」と訴えてきた。

 

 

「バカなの?」

と思ったので

「バカなの?」

と伝えたら、血相を変えて逃げて行った。

誰にものを言ってんの?

 

 

どうでもいいことにめくじらを立てて叱り続けたところで、校内の様子は何も変わらないのだ。

そんなことよりも僕の主張はこうだ。

「ルールを失くそう!」である。

余計な校則な廃止した方が良い。

 

 

すべての先生が守らせることができる校則ならばあっても良い。

だが、守らせることができない先生がいるような校則ならばない方が良い。

 

 

ルールは設定した以上、守らせるべきだ。

守らせることができないならば、ルールなど作らない方が良い。

 

 

理由は、「ルールを守らない」ということが「子どもたちの規範意識の低下」につながるからである。

 

 

「服装の乱れは心の乱れ」という言葉がある。

僕は過去に「服装」を整えても「心」は整いませんよ、という話を書いてきた。

 

一方で、規範意識が低下し、心が乱れれば、それが服装の乱れになって現れるのも事実である。

つまり、問題は服装にあるのではなく心にある。

心の乱れが服装に現れるわけだけど、服装を直しても心の乱れが直るわけじゃない。

 

 

例えば、熱が出たとして発熱が問題なのではなく、その原因はインフルエンザにあるんだけど、とりあえず解熱剤で熱を下げたらインフルエンザも治るでしょ?的な発想なのである。

 

規範意識の低下は「いじめ」や「いじわる」、「学級崩壊」など、諸々の問題を引き起こす。

早い話、「いいじゃん!そのくらい!」という空気感を生む。

 

 

だから、「ルールを厳しくしよう!」と考えてしまうことが多い。

逆である。

ルールを減らすことで、守るべきものを少なくする。

いわば、守るべき最低限のものだけを残すのである。

 

 

そして、残したものだけは徹底的に守らせる。

それは誰もが指導できるレベルのものに留めるのである。

こうやって規範意識を整えていくのである。

 

 

ルールを減らす。

そのかわり、「ルールを守る」という気持ちは大切にする。

守れないルールならばいらない。

 

 

その方が健全だと僕は思う。

 

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。