大切なことは全部、子どもたちが教えてくれた
おもしろいほど勝てないサッカー部の話
僕は、サッカー部の顧問がやりたくて、先生になった人間です。
まぁ、サッカーを教えられたのは、最初の学校だけでしたが。
大学を卒業すると、念願のサッカー部の顧問になりました。
数年で全国大会へ行くだろう…、と思っていました。
無知すぎる!!!!
赴任して3年ほどは、おもしろいように勝てませんでした。
もうビックリするぐらい負け続きです。
土日を返上して練習。
日が暮れてボールが見えなくなっても練習。
グランドには、ず〜っと僕の怒鳴り声が響いていました。
「これだけ練習しているのに」
「選手が悪いんだ」
そんなふうに考えていました。
たくさんサッカーの本を買って勉強しました。
たくさん練習試合をしました。
でも、全然強くならないんです。
呆れるくらい勝てないんです…。
チームの成長に一番の邪魔だったのは◯◯
最初に赴任する学校は、いられる年数が決まっています。
僕に残された時間はわずかでした。
ある年の新入生。
この子たちは、卒業までは面倒を見てあげられない。
彼らが中3の春には、もう僕はこの学校にはいません。
そうわかったときから、練習のスタイルを変えました。
僕があれこれ言っていては、僕の次にサッカー部の顧問をやってくださる先生が、サッカー未経験者だったら、子どもたちは困ってしまいます。
ですから、できるだけ子どもたちに任せることにしたのです。
練習試合でも、外から見ていて気づいたことを伝えたら、あとは子どもたちに話し合わせました。
先生主導から子ども主導にシフトチェンジしました。
するとどうでしょう。
試合中、子どもたち同士で声を掛け合い、確認作業をするのです。
ひとつひとつのプレーを修正し出すのです。
昔は僕の怒鳴り声だけが響くチームでした。
それが、子どもたちの声が響くチームになったのです。
すると、どんどんチームは強くなりました。
そして、彼らは中3の夏、サッカー未経験の新卒の顧問の先生を県大会へと連れていったのでした。
一番の邪魔者は僕だったのです。
子どもたちから学べば、だれもが素敵な先生になれる
このときの子どもたちの姿は、僕に大きな気づきを与えてくれました。
子どもたちには、無限の可能性があります。
僕らにできることは、それを引き出すことなのです。
あのころの僕は、僕のためにサッカーを教えていました。
子どもたちには、本当に悪いことをしました。
チームが勝てなかったのは、子どもたちのせいではありません。
完全に僕のせいです。
子どもたちの力を伸ばしてあげられなかったのです。
あのころの僕は、本当に未熟でした。
僕が子どもたちを育てたんじゃないんです。
子どもたちが僕を育ててくれたのです。
大切なことは全部、子どもたちが教えてくれます。
子どもたちの姿から学べば、だれもが素敵な先生になれるはずです。
先生にとって一番大切なのは、謙虚さ。
人間が成長するために一番大切なのも、謙虚さ。
これは、最初の学校の離任の挨拶で伝えたことでした。
「みんなの姿から、謙虚であることの大切さを学びました」
ハッピーな先生になるためのステップ
子どもたちの姿から学ぶ謙虚さをもつ