学べることの幸せに感謝して
私は初任のころから研究会というところで勉強させていただいています。
赴任した校長先生 が、二代続けて研究会の会長だったこともあり、大変お世話になりました。
全国大会の場で研究発表をさせていただいたり、夜間中学校で講師をさせていただいたりと、教師として貴重な経験をさせていただきました。
その研究会の中で、私は言語部会という部会に所属していました。言語部会は、おもに漢字や文法などの指導 を研究するところです。
あまりにも不人気な部会で、10年の間、まったく後輩が入りませんでした。
私以外は、 校長先生と教頭先生、教務主任の先生しかいなかったのです。
これを「辛い」と思うか、「ラッキー」と思うか。
私の場合は「なんて幸せなんだろう」と思いました。
「榑林くんね、言語に限らなくてもいいから毎月授業で やったものを資料にして持っておいでよ」と言っていただき、ご指導いただきました。
市を代表するような先生方を独り占めです。
一生懸命勉強すると、授業が変わります。
子どもたちの瞳の輝きが変わります。
だから、教えていただけることに感謝して、私は一生懸命勉強しました。
さて、世界には学校に通うことのできない国や地域がたくさんあります。
2014年ノーベル平和賞を受賞し たマララ・ユスフザイさんを記憶している人も多いでしょう。
彼女は十五歳のときに、下校中のスクールバスを 襲撃され、頭と首を銃で撃たれたそうです。
奇跡的に一命を取り止めた彼女は、その後平和と教育の大切さを世界に訴える活動を行いました。
その活動が評価され、ノーベル平和賞を最年少で受賞したのでした。
また、『世界の果ての通学路』という映画があります。
4ヵ国の子どもたちが学校まで通う行程を描いたフランスのドキュメンタリー映画です。
片道15kmの道のりを歩いて通うケニアの兄弟。
彼らの通学路は野生動物の暮らすサバンナです。
インドの兄弟の通学は4kmです。
ですが、一時間以上もかかって通学しています。
お兄さんは足が不自由で、車いすだったのです。
彼らの通学路は舗装されていません。
ボロボロの車いすを弟たちが押して通っているのです。
今、みなさんの目の前にはこの中学校があります。
遠くから通っている人もいますが、安全に登校することができています。
そして、この学校には熱意ある先生方が一生懸命教えてくださいます。
ともに学ぶ仲間もいます。
美しい教室があります。
教科書は新品です。
この幸せを心から感謝できたならば、授業に臨む姿勢はおのずと変わってくるはずです。
忘れ物や居眠りなど、ありえないでしょう。