イラスト1つでも、教室はハッピーに変わる
先生という職業の人は、教科を嫌いにさせるのが得意だね
僕は美術が大嫌いでした。どれだけ一生懸命描いても、褒められたことなんてありません。いつもいつも批評されます。
「ここをもっとこうしなさい」
「塗り方が雑。ほら、こうやるの」
あ〜つまんない!
本当につまんない!
面倒クセ〜!
そんな気持ちでしたから、成績は『2』。一応やるべきことはちゃんとやる真面目な学生でしたから『1』ではありませんでしたが、モチベーションは底辺でしたので、できあがる作品も底辺。作品をつくるたびに、批評される。たまらなく辛い時間でした。
だから、絵を描くことが大嫌いでした。
ところが、先生という職業に就いて数年、僕はイラストを描くことが得意になりました。
イラストで教室をハッピーに変える
ある年のこと、僕は絵に描いたような学級崩壊を経験しました。
どんどん席を立つクラス。一人を席に戻すと、別の子が席を立つ。もぐら叩き状態。「これは困ったな〜」と思って、あれこれ手を尽くしました。
このときの経験が、自分を『創意工夫人間』に育ててくれたと思っています。
で、その学校では『生活日記』と呼ばれる先生との交換日記がありました。これがまたヒドい!
「死ね」
「バカ」
とか書いてあるんです。「さぁ、どうしようかな〜」と思いまして、「ちゃんと書いてこよう!」とか「そういう言葉はよくないよ」とか、まともなことを書くわけですが、「うるさい!」「ヤダ!」「バ〜カ!」とか書いてくるわけです。
で、どうしたか。
「叱る」「怒鳴る」「親に電話する」
どれも、僕の選択肢にはありませんでした。だってそんなのつまらないですもん。
僕は、毎日絵を描くことにしたんです。当然ちゃんと描いてくる子どもたちにも同じように絵を描きます。ただ、少しだけ絵に差がありました。ちゃんと日記で書いてくる子には、全力で絵を描きメッセージを書く。「バカ」「アホ」と書く子には、余った時間でハイスピードで描いたイラストが…。
美術『2』のイラストですから、それはヒドいものでしたが、子どもたちは喜んでくれました。で、帰りの短学活でお互いに見せ合うんですね。
「今日は、何が描いてあった?」
すると、生活日記に暴言書いてた子たちも、「なんで俺らの絵をテキトーなんだ?」って言うんです。で、尋ねます。
「何でだと思う?」
それからというもの、みんながそれなりに日記を書いてくるようになりました。もちろん、彼らと別れる日が来るまで、僕はイラストを描き続けました。
気がつくと、1年の終わりにはみんなが席に座って授業を受けるようになっていました。それと同時に、僕のイラストも驚くほど進歩したのでした。
喜んでもらえるから、成長する
あんなに嫌いだった絵を描くこと。描いたって、けなされるだけの絵を描くこと。それなのに、子どもたちが喜んでくれるだけで、絵を描くことが好きになるんです。
おかげで、ノート点検や卒業アルバムへのコメント、黒板へのメッセージ、いろんな場面でイラストは重宝してくれています。そのイラストをもとに、この大辞典型ブログもデザインしていただいています。
喜んでもらえることをすると、教室は変わります。
ハッピーな先生になるためのステップ
「叱る」より、喜んでもらえることを考える。