発言者と発言を切り離す『見える化』

見える化 ファシリテーション

話し合いを『見える化』

話し合いを目に見える形にしていくことを『見える化』と呼んでいます。裏写りしない水性マジックを用いて、話し合った言葉を模造紙に書き出していきます。付箋紙ホワイトボードを使うこともあります。

 

 

書き出すことによって、話し合いに流れが生まれます。どんな流れで話し合いが展開されていったのかが、一目でわかります。脱線して横道にそれて行くことを防ぎます。

 

 

僕は、話し合うグループは3〜4人で班をつくります。班を5〜6人に増やすと、どうしても1班が2グループに分かれてしまう傾向にあります。できれば、男女混合班で。同性は斜向かいに座るといいですね。

 

 

ですから、40人学級なら10班できます。水性マジック10セットがあると、学級経営にう〜んと役に立ちます。模造紙はA3用紙2枚を糊付けしてA2サイズにすることで代用する方法もあります。

 

 

『見える化』最大の効果

この数年、『見える化』を学級経営にどう活用すればよいか、研究を重ねてきました。

 

結論から言うと、あらゆる場面で有効です。学級会でも道徳でも授業でも、ハッキリ言って使えます。子どもたちが自分のクラスのことを、真剣に話し合う。学級担任である僕は、その話し合いの支援をしていくファシリテーターとなる。

 

子どもたちが主体的に学ぶ。主体的にクラスと関わるようになる。

 

 

でもね、

 

一番の効果は…

 

それは仲良くなる!

 

 

『見える化』をすることで、発言と発言者が切り離される。このことは学級経営において、最大の効果をもたらしてくれるのです。

 

認められることのうれしさ

人と人が暮らしていれば、そこにはパワーバランスというものが存在します。

 

教室の中には、活発な子もいれば、穏やかな子もいます。じっくり人の意見に耳を傾ける子もいれば、積極的に発言する子もいます。リーダーシップのある子もいれば、サポーターになる子もいるでしょう。

 

みんな違ってみんないい。それが教室です。

 

ところが、話し合い活動ではリーダーシップのある子、発言力のある子の意見が優先されがちです。アイデアの良し悪しではなく、「だれが発言したか」が優先されてしまう。そんなことは、大人の世界でもあることです。

 

また、人間関係に左右されることもあります。「あの子には負けたくない」とか「あの子は好きじゃない」とか、好き嫌いといった感情が話し合いを左右してしまうことがあります。こういったことは案外無自覚に起こります。それだって、大人の世界にもあることです。

 

『見える化』は、発言者と発言を切り離します。書かれた意見に発言者の名前など書いてはいけません。

「だれが言ったか」

なんてことは重要ではないのです。発言者と発言を切り離すことで、学級内でのパワーバランスや人間関係から切り離され、意見は純粋に意見としての力を発揮するようになります。

 

 

ただし、発言者だけはそれが自分の発言であることを知っています。普段仲良くないあの子が自分の意見を認めてくれた。「みんなが受け入れてくれた」という経験が教室を安心・安全な場にしてくれるのです。『見える化』を用いたら、学級が仲良くなったんですね。不思議でした。

 

そのためには、グランドルールがあります。これは、とっても大切なグランドルールです。

「出された意見を否定しない」

このグランドルールが徹底されている教室では、すべての子どもたちが安心して話し合うことができます。

 

では、このグランドルールを定着させるためには、一番大切なことはあります。それは、僕らが子どもたちの意見を先生が否定しないことです。

 

自分ができていないことを人に要求することは恥ずべき行為です。まず、先生が子どもたちの言葉と真摯に向き合い、全力で受け止める。それが大事なんですね。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 ツールもね、スキルもね、マインドがなきゃ宝の持ち腐れさ♪

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。