本当のルートを見つけておく

家庭学習

家庭学習をすれば学力は必ず伸びるのか?

「家庭学習が定着していない」というお話が、毎年のように話題になります。

 

「塾に行ってるときだけは勉強しているけれど、自宅では全然やらない」

「宿題だけやって終わり。いや、宿題すらやらない」

 

なんてことは、よく耳にするお話です。

 

ある学校では、家庭学習が定着するようにいろいろな取り組みがなされていました。宿題を配ったり、毎朝チェックをしたり。まぁ、よくある取り組みです。で、その甲斐があってか、ずいぶんたくさんの子が家で勉強をしてくるようになったんだそうです。家庭学習が定着してきたようです。

 

それで、ある先生がこんな質問をしたんですね。

 

「じゃあ、次の実力テストでは成績が伸びそう?」

 

ところが、返事はこうでした。

 

「いや、それとこれとは別です」

 

テストをする前から、ダメじゃない?と思うわけです。ん〜っ、じゃあ何でやらせたのさ?

目指す場所へのルートは正確ですか?

家庭学習はするようになったけれど、家庭学習をしたって勉強はできませんなんて言っちゃダメだよ。

 

勉強ができるようにしたい。そのために家庭学習をさせたい。その結果、家で机に向かうようになったのに、これで勉強ができるようになるわけじゃないなんて言われたらさ、子どもたちは辛いよね。

 

ここには大事な気づきがあります。

 

学力の向上を目指していたんです。本当はそのために必要なことは何のかを入念に話し合うべきなのです。ところが、安易に既成概念に従ってしまいました。「家庭学習をすれば学力は向上する」という常識があります。本当にそうなの?ってことをよくよく考えなきゃいけなかったんです。

 

本来目指している場所を明確にしておく。そして、そこまでのルートをちゃんと確認しておくんですね。

それを見失うと、大きな過ちを犯してしまいます。

 

何を目指してやっていますか?

たとえばね、給食指導。勉強をするには健康な心と身体が必要です。栄養たっぷり摂って、元気いっぱいにならなきゃね。

 

ところがです。

 

何のために何をするのか?

…という大きな部分を忘れて、子どもが学校へ行きたくなくなっちゃうぐらい「絶対給食残させない派」の先生がいます。

食べさせることが目的になってしまう。

「なんで残しちゃダメなの?」って尋ねると、「残しちゃダメって決まってるからです」との答え。それで、学校に行きたくなくなったら、勉強できないじゃん…。

 

「何のため(目的地)に何をする(ルート)のか」

 

これが大切なんですよね。

 

ちなみに、僕は子どもたちの学力を高めるためには、学習への動機付けが大切だと考えています。

何のために学ぶのかを明確にすること。

そのために、キャリア教育に力を入れています。一見勉強とはかけ離れた活動に見えて、実はそれが学力向上につながっているわけですね。

 

「じゃあ、次の実力テストでは成績が伸びそう?」

あんなにがんばってる子どもたちなんだもん。伸びるさ、きっと。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 目指す場所を決め、そこへの道筋を腹を割って話し合うの。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。