「問うこと」の職人を目指して

授業がつまらない

なぜだろう?

僕のサイトにgoogle検索からやってくる人のキーワードがおもしろい。

「若い担任 指導書片手に授業」

いったい、どういう人がこのワードで検索するのだろう?

先生?

保護者?

生徒?

まぁ…、いいんだけど。

 

「問うこと」の職人を目指して

僕は国語の先生です。

基本的に僕の仕事は「発問」を作ること。

キレッキレの発問が2つあれば授業なんて完成。

 

だから、寝ても覚めても授業のことを考えてきました。

つまりは、発問ばかりを考えてきました。

どんな発問をすれば、授業が活性化するか。

そんなことばかり考えてきたんです。

 

16年間、発問のことばかり。

それでね、さらに自分の発問力を身に付けたくて「魔法の質問」を学びました。

「問うこと」の職人を目指してきたんです。

 

 

あのね、国語に限った話をしますね。

他の教科は知りません。

 

まず、指導書とか糞つまんね〜から。

 

指導書。

1年目の4月に読んで、「なんだ!このつまんね〜授業は!」って思ったの。

「教科書会社、アホだな」って思ったの。

16年前の僕はね。

 

 

でも、あとで知った。

あれって、先生たちが作ってんだね。

つまんね〜って言ってごめんなさい。

すごくいい授業です。

さすがです。

 

でも、やりません。

つまんね〜から。

 

 

大切なのは発問です。

そして、それを考えるために、事前に教材を何度も読みます。

とにかく読みます。

10回ぐらい読むんです。

すると、一つの物語を通して、一編の詩を通して、書き手が表現したかったものが見えてきます。

 

 

そしたら、子どもたちがそこにたどり着くための発問を考えます。

これはもう、「先生はね、10回読んだら、わかっちゃったんだな!この話ってね…」って教えてしまえば簡単です。

でも、それは自己満足。

そうそう教える授業って教師の自己満足なんだわ。

 

 

違うのね。

自分が一つの答えにたどり着いたプロセスを、子どもたちも辿れるように「発問」を作るんです。

 

 

で、最近は教科書なんて斜め読み。

初読で終わり。

で、ポンと発問が浮かんでくる。

 

たぶんそうなれたのは、指導書なんか読まなかったから。

指導書なんかに頼らなかったから。

その分、いっぱい勉強した。

 

最近はビジネス書しか読まないけれど。

実は、国語の専門書が本棚の1コーナーに並んでいる。

「大村はま」全集とか持ってる…。

 

20代って時間があるから、もっともっと勉強した方がいい。

指導書に逃げると、一生指導書を手放せなくなる。

自己流に走るのもダメ。

とにかく学ぶの。

 

たとえば、こんな授業

では、一つのアイデアをお届けします。

 

「主人公の人となりがわかるところに線を引きましょう」

「線を引いたところをグループで伝え合いましょう」

「線を引いたところをもとに、どんな人物かを自分の言葉で書きましょう」

「グループでノートを見せ合いましょう」

「グループみんなで、一番わかりやすく書けているノートを選びましょう」

「選ばれた人は、前に出てきて発表してください」

「では、最後に他の子のノートを見に行く時間をつくります。はい、席を立っていいので、見にいきましょう」

 

たとえば、こんな感じ。

何をしゃべるか、これを吟味する。

寝起きで書いているから、テキトーですが。

雰囲気、伝わるでしょうか。

 

 

で、これって教材に関係なく使えるじゃないですか。

こんなのが大量に脳みその中に格納されている。

それで、教材を見た瞬間、「これだな」って格納庫から出てくる感じ。

 

職人になるには修行が必要です

職人になるには修行が必要です。

そんなの当たり前です。

指導書なんかに逃げないで、授業と向き合うんです。

 

鰻は「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」なんて言います。

寿司は「飯炊き3年、握り8年」なんて言います。

 

その点、「学校の先生」は4月1日から「先生」です。

修行ゼロで現場です。

これ、他の職業との一番の違いだと思います。

 

バイトだって、ちょっとは研修があるでしょ?

マジでゼロ!

辞令もらって、直行で教育現場。

 

僕なんて午前中に辞令もらって初出勤するでしょ。

その午後、生徒指導してましたもん。

事件が起きましてね。

初対面のヤンチャ坊主数名、相談室に入れて。

「ちょっとくればやしくん、面倒みといて」って。

初日から囲まれてる…。

その日から、生徒指導畑で働く運命だったんだろうな。

 

 

おっと脱線!

 

まあ、即戦力を求められるのは仕方がない。

そういう職業なんだもん。

だから、指導書片手になってしまうのも無理はない。

 

でも、そこから抜け出すためには勉強するしかないんです。

職人になるには10年かかる。

10年かかって、ようやく「いつでも見に来ていいよ」と言える授業になったような気がします。

 

書物で学び、教えを請い、授業にフィードバックする。

これが大事。

 

そうそう、若いころは子どもたちにアンケートを取っていましたよ。

当然、最初は辛辣な言葉が並びます。

無記名ですから。

でも、それをしっかり受け止めて、授業力につなげるんです。

 

それが仕事です。

 

 

ハッピーな先生になるためのステップ

自分の仕事に誇りがあるから修行ができるんです。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。