「ニッポン」は普通か。
上海で3年間暮らして、
日本に帰ってきた。
なんといっても驚いたのは、
東京駅の構内だった。
成田からスーツケースを抱えて、
東京駅へ。
道ゆく人たちはみんな、
濃い色のスーツを着て、
家路を急ぐ。
みんな静かに、
足早に歩く。
そんな「普通」の光景が、
中国から帰ったばかりの僕には、
異様に映った。
黙々と、
ただ黙々と歩く人たちの群れ。
上海の地下鉄では、
スーツ姿の人って見かけない。
スーツを着るような人は車に乗る。
しかも、みんな高級車。
地下鉄の中は、
もっと雑然としていて、
大きな声で話す。
お構いなしにスマホを使う。
日本で言えば、
それはまあ、
マナー違反なのだろうけれど。
一方。
中国では、
子どもを連れていれば、
ほぼ100%、席を譲られる。
みんな騒がしいのだから、
ウチの子たちが騒いでいても、
咎める者などいない。
逆に、
日本に帰ると、
とても気を使う。
子どもなど、
そもそも騒がしい生き物だから、
親は子どもの一挙手一投足に、
目を光らせることになる。
電車の中では、
喋っちゃいけないし、
歩き回っちゃいけないし、
お菓子も食べちゃいけないし。
それでは、
子どもたちはしんどい。
親だって疲れちゃう。
いろんな国を旅して思うのは、
日本で暮らす人たちって、
あんまり幸せそうに見えないってことだ。
「幸せ」と「経済的な豊かさ」は、
イコールじゃない。
日本に比べれば
「貧しい」と言われているような国。
でも、そこで暮らす人々は
実に幸せそうだ。
「ニッポン」という国を基準に、
世界の国々を見てしまうと、
本質から遠ざかる。
「あの国はこうで、
この国はこう。
どこそこが日本と違う」
そういう見方は、
意味をなさないと思う。
世界の国々をもっと味わうといい。
いろんな国を知り、
そこから共通点を見い出す。
すると、
「ニッポン」の特異な部分が浮き彫りになる。
世界が特別なのではなく、
「ニッポン」が特別なのではないか。
そんな思いが沸き起こってくる。
世界はもっと雄大で、
世界はもっと豊かで、
世界はもっと幸せそうだ。
創造的な人生を生きるためのしつもん
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