価値観を変えるたった1つの方法

「それもありだな」を知ると、子育ては楽になる

僕らはたくさんの制限の中で生きている。

僕らは平均的をこよなく愛する生き物だ。

制限の中で生きることは、このうえなく心地いい。

 

 

 

中国のある企業を訪問したときのこと。

 

 

廊下に白線が2本引かれていた。

そこにはこんな表示。

 

「この線からこの線まで、6秒で歩きなさい」

 

 

どうやら中国人は、廊下を歩くという習慣がないらしい。

それで白線から白線まで10メートルほどの距離を6秒で歩かせていた。

ちょうどそれは高速道路のスピード違反取り締まり区間のようだった。

 

 

おもしろいものだ。

常識とは普遍的なものではなく、限定的な世界でのみ通用する。

 

 

日本では赤は止まれで、青は進め。

でも、中国では「信号の色」ではなく渡れるかどうかが重要だったりするわけで。

 

 

青でも渡れないことだってあるし、赤でも安全を確保できるなら渡る。

インドネシアに行ったときは、まったく信号を守る気のない自動車とバイクに笑ってしまった。

 

 

どちらが良いという話をしたいわけではない。

海外を旅すると、自分の中にある「制限」に気がつくことができる。

 

 

これは、あれだね。

病気になって初めて健康のありがたさがわかる感覚と似ている。

その中にいては、何事も気づけないものなのだ。

 

 

幸せはいつだって失って初めて気づく。

幸せに気づくためには、不幸が必要なのだよ。

 

 

制限があると、僕らの思考はその中でぐるぐる回る。

「どこに住みたい?」と尋ねると、多くの人は日本国内のどこかを探す。

僕にとっての「どこに住みたい?」は「どこの国に住みたい?」と同義だ。

 

 

それは、僕がすごいわけでも、変わっているわけでもない。

 

 

僕には海外で暮らした経験があり、海外で暮らすことは「あり」だと思っている。

だから、「どこに住みたい?」は「どこの国に住みたい?」と同義になる。

 

 

一方、パートナーの実家か、自分の実家か、という選択肢しかない人もいる。

「どこに住みたいか」ではなく、「どちらの面倒をみるべきか」で考えてしまうからだ。

それを良いとか悪いとか、ジャッジするつもりはない。

 

 

ただ、僕らの思考を制限しているものは確実に存在し、それを打ち破るには、「そういうのもありなんだ…」と気づくことから始まる。

 

 

昨今は否定する文化が浸透している。

異端の者は、排除される。

「みんな違ってみんないい」なんてのは聞こえのいいお題目で、本当は「みんな同じでなければならない」の論理が働いている。

 

 

だから、「それもあり!」に気がつきにくい。

では、その制限を取っ払う方法をお伝えしよう。

 

 

自分の制限を取っ払う方法

1つは付き合う相手を変えることだ。

僕はマツダミヒロさんに会って変わった。

だが、正確にはミヒロさんによって変わったわけではない。

 

 

ミヒロさんが主宰する『魔法の質問』の仲間と出会って変わった。

とにもかくにも、変な人(?)と言っては失礼だけど、自分を生きてる人ばかりで、とにかく僕の制限が取っ払われた。

 

 

 

ある生活水準を選ぶと、同じような人が集まってくる。

それはとても心地のいい空間である。

 

 

だが、その中にいると自分の中で「革命」は起こりにくい。

ちょうど僕が「学校の先生」だったころ、僕の周りには「学校の先生」しかいなかった。

中には(すごいなぁ…)と思う先生もいた。

 

 

だが、「学校の先生」の枠からは超えない。

人生に「革命」を起こすような出会いにはならなかった。

 

 

結局、コンフォートゾーンの中では、革命は起こらないのだ。

「出会い」って本当に大切。

人は人によって変わる。

 

 

最近だと、高橋歩さんにあって、また僕の中で革命が起こった。

子育てのこと、パートナーシップのこと、人生のこと。

とにかく、すべてが革命だった。

 

 

 

2つ目の制限を取り払う方法は、外国に行ってみることだ。

できれば、暮らしてみるといい。

観光などせず、街を徘徊してみるだけで、自分の制限に気がつくことができる。

 

 

 

 

結局、コンフォートゾーンという居心地のいい場所を抜けて、異端に足を踏み入れなければ、人は自分の制限に気がつくことも、制限を取り払うこともできないわけだ。

 

 

子育ての新常識

そうそう。

僕は長男くんをテスト週間中に海外旅行に連れていった。

プーケットのリゾートだ。

 

 

テスト週間は部活動もなく友人はテスト勉強で忙しいため、遊ぶことができない。

勉強は、学校だろうと、空港のラウンジだろうと、機内だろうと、リゾートだろうと、やろうと思えばできる。

 

 

そして、何よりこういう時期が一番飛行機が安い!

夏休みという最も航空券が高い時期に海外旅行に連れていくとか、僕には意味がわからないわけで。

テスト週間は、子どもを海外旅行に連れていくベストシーズンなのだ。

 

 

続いて、長女ちゃんを2週間海外旅行に連れ回した。

クアラルンプール(マレーシア)、オークランド(ニュージーランド)、ニウエと旅をした。

もちろん学校はお休みだ。

 

 

いろんな声があったけれど、一番多かった声は「そんなのありなんだ」だった。

言っとくけど、そんなのありだ!

 

 

「学校なんて意味ないよね?」とか言う人はいっぱいいるくせに、学校に行かなくてもいいと本気で子どもに言える人は少ない。

そんなにカッコつけなくてもいい。

 

 

「学校に行かなければならない」

 

そう思っている人が大半だし、僕はそれでいいと思っている。 

ちなみに、僕は彼らを無理やり連れていったわけではない。

学校は行きたければ行けばいいし、行きたくなければ行かなくていい場所だと思っている。

 

 

学校が良いとか悪いとかジャッジするつもりもない。

ただ、無くなっては困るものだと思っている。

だから、やたらと「学校批判」を繰り返す人を見ると、「寒いな」と正直思う。

 

 

対案を示せない野党と同じ。

超カッコ悪い。

 

 

おっと脱線。

そんなわけで、海外旅行に子どもたちを連れていく前に僕は子どもたちに尋ねたのだ。

 

「お前たちはどうしたい?

行きたければお金を出してやるし、行きたくなければ日本に残ればいい」

 

 

長男くんも長女ちゃんも、自分で「海外に行きたい」と言った。

だから、連れていくことにした。

すべては彼らの選択だ。

 

 

正確に言うと、長女ちゃんの方は「連れていく」とは一言も言っていないのに、本人だけはニウエに行く気満々になり、仕方なく連れていくことになったのだが…。

 

 

 

ちなみに、ある日のこと。

長男くんがこんな言葉を口にしたことがある。

 

「みんな、塾行ってるんだよね。僕も行こうかな?」

 

 

さあ、あなたなら、どう答えるだろう?

ちなみに、僕の答えはこうだ。

 

 

「我が家には塾に行かせるお金はない。

海外旅行に行かせるお金ならあるけど。

塾に行くのと、海外に行くの、どっちがワクワクするの?」

 

 

ちなみに、旅行の後日談。

学校を休んだくせに成績が上がってしまった。

これは良くないね。

休んで勉強していたんじゃないかと思われるかもしれないから。

 

 

彼の名誉のために言っておこう。

彼はプーケットでビリヤードにハマり、見ず知らずのシンガポール人たちと日夜ビリヤードをしまくっていた…。

 

 

「ちょっとは勉強したら?」

 

妻も僕もモヤっとしたけどね。

まだまだ、僕らの中にも制限があるんだよね。

必死に塾行ってテスト勉強に励んでも、海外リゾートでひたすら遊んでても、あまり成績に差異がないってどうなんだろうね?

 

 

 

この話を読んで「それもありなんだ」と思ってもらえたら幸いだ。

 

 

子育てに迷ったときに出会いたい100の言葉

「それもありだな」を知ると、子育ては楽になる。

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。