人生を謳歌している姿を子どもに見せたい

教師のワークライフバランス

先生の働き方を考える


「先生、この働き方で大丈夫なんですかね?」

 

職員室の灯りは、深夜近くまで消えることはありません。
そんな現状を見た若い先生が、自分の将来に心配になったのでしょう。平日も夜遅くまで働き、休日も出勤。

 

「こんな生活、一生は続けられません…。同期の仲間も苦しんでいます」

 

この現状を知っていただくことも大切かなと思います。

 

何かを犠牲にして働くことは美徳なのか

我が家は妻も私も、学校の先生でした。

 

「でした」というのは、妻はもう退職してしまったから。

 

保育園児の二人の子どもがいました。
平日は朝、保育園に連れていってから出勤。
夕方、保育園にお迎えに行くために一度退勤。

 

僕が帰宅するまで待って、妻は再度職場に出かけていきました。

 

小学校の先生は、どうしても教室でないとできない仕事があります。
中学校の先生だった僕は、子どもの面倒を見ながら、食卓でテストを作成したり翌日の授業の準備をしたりしていました。

 

週末も、妻は職場へ出かけます。

 

僕は毎週のように実家へ子どもたちを連れていきました。

「子育てとの両立はできない」と感じた妻は、3人目の子どもの出産を機に、退職しました。

 

我が家は妻の実家も近く、子育てを頼ることができる恵まれた環境にありました。
それでも、子育てとの両立は難しかったのです。

 

立派に子育てと両立させている先生もいます。
僕は、そんな素晴らしいお母さん先生の影で、両立に苦しんでいるお母さん先生も多いのではないかと思っています。

 

先生が、先生であることを幸せに感じられる教育現場を創造したい

僕らはトイレに行くことすらできない日もあります。

一日中、ほとんど水分を摂らない日もあります。

深夜、自宅に保護者から電話がかかってくることもあります。

自家用車を傷つけられることもあります。

 

昼食は、ゆっくり食べられません。

「昼食は飲み物だと思え」と言われました。

 

体罰や暴言は許されませんが、殴られたり暴言を吐かれることはあります。

 

 

すべての学校がそうだ、とは言いません。

けれど、苦しんでいる先生が多くいることも事実です。

 

「先生、この働き方で大丈夫なんですかね?」

 

そんな彼に、僕はこんなことしか伝えられませんでした。

「君が入社したのは、日本最大の教育チェーンであり、ブラック企業なんだよ…」

なんて、半分冗談で、半分は本気でお話をしました。

 

 

ただ、どんなブラック企業だって生き生きと働いている人はいます。

学校の仕組みは変えられないでしょう。

きっとこれからも「先生の善意」で、学校教育は成り立っていきます。

 

 

けれどね、働き方は変えられると思うのです。

もっと「ハッピーな先生」になれるのです。

そんなマインドをこれからもお伝えしてまいります。

 

ハッピーな先生になるためのステップ

 ワークライフバランスの取れた「働き方」を考える先生がどんどん増える。

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。