熱中してみる。


お母さんが定期購読していた主婦向け雑誌を貪るように読むような幼稚園児だったと言います。

文字が読めたわけではないけれど、美味しそうな料理やお菓子の写真、家事の裏技に節約術。

それは彼女にとって、お兄ちゃんにとってのテレビゲームの攻略本のようなものでした。

 

 

掃除、片づけ、料理に裁縫。

家事をこよなく愛する日々は、まるで花嫁修行のよう。

 

 

それが『人生がときめく片づけの魔法』でミリオンセラーを記録したベストセラー作家の近藤麻理恵さんです。

2015年には、アメリカのTIME誌の「最も影響力のある100人」にも選ばれています。

 

 

中高生になると、帰り道にある雑貨屋さんによっては収納グッズをチェックし、面白い商品を見つければ会社に問い合わせて、商品の開発ストーリーを尋ねるほどでした。

 

 

自分の部屋を片付けるだけでは飽き足らず、兄の部屋、妹の部屋、リビング、キッチン、洗面所と場所ごとに毎日片付けをし続けました。

学校から帰ると制服も着替えずにお片づけを始める彼女。

日が沈み夕食の声がかかるまで、時間を忘れて片付けに没頭していたと言います。

 

 

15歳のとき、彼女は『「捨てる!」技術』という本に出会います。

そこで彼女は捨てることに開眼し、片づけ研究はどんどんエスカレートしていったのだと言います。

 

 

頭の中が片付けることでいっぱいになった彼女は、新しい場所を見つけてはこっそりお片づけに励みます。

教室の本棚の本を並べ替えたり、収納の工夫をしたり。

とにかく幼いころから「お片付け」が大好きだった彼女。

 

 

「片付けオタク」を自認する彼女は、やがて「片づけコンサルタント」として、「片づけること」を仕事にします。

まさに、好きを仕事にする代表のような生き方です。

 

 

自分が好きなこと。

そこには「天才の種」が隠されています。

 

 

その種を発芽させるためには、とことん追求することが大切です。

彼女の「片づけ」に対する情熱をみんなが邪魔すれば、きっと彼女の種は発芽することはなかったでしょう。

 

 

教室の掃除箱を片づけ始める彼女に、

「そこは片づけなくていい」

「勝手に配置を変えるな」

と言い、兄の部屋を片づける彼女に、

「勝手に部屋に入るな」

と言えば、きっと彼女の「天才の種」は発芽することなく枯れてしまうことでしょう。

 

 

ついつい僕らは、子どもが何かに熱中しすぎると、心配になってしまうところがあります。

ですが、その「熱中すること」こそが、「天才の種」を発芽させるのに欠かすことができないのです。

 

 

子どもの才能が花開く問いかけの魔法

子どものときにハマったことは何ですか?

 


【参考文献】

近藤 麻理恵 著

『人生がときめく片付けの魔法』

(サンマーク出版)

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。