子どもの表情を見つめてみよう♪

女の子の横顔

昨日は長女の学校の授業参観でした。

それで思い出したお母さんがいました。

 

 

そうそう、まだアクティブラーニングの「あ」の字もなかった時代。

僕は、「アウトプット」こそが学びだと感じ、「伝え合う」ということを大切にしてきた。

 

4人組の小グループで自分の考えを伝え合う。

それを机上の模造紙に水性マーカーで記録する。

 

 

今度は小グループを変えて、また伝え合う。

いわゆるワールドカフェの手法を取り入れて、授業を進めていた。

 

 

それで、授業参観の話に戻そう。

ちょうど、物語文で主人公の人物像を話し合う授業だった。

 

 

その生徒は大人しい子どもで、そのうえあまり勉強が得意でもない。

授業参観後、お母さんが血相を変えて、僕のところにやってきた。

 

 

「あんな授業じゃ困る!」と言うのだ。

「ウチの子は全然勉強をしない。家に帰ってきてもゲームばかりしている」

家庭での様子を一気にぶちまけた。

 

 

授業参観にはたくさんの親御さんが来ていた。

たまのことなので、学級担任の僕と話したいお母さんもいただろう。

ところが、そんなことがあったものだから、周囲にいたお母さんたちもスーッと潮が引くようにいなくなってしまった。

 

 

「あの子は今日もボーっとしているだけ。だから、あんな授業ではなく、漢字の書き取りをさせてください」

 

なるほどなぁ…と思った。

ただただ、話を聴くことにした。

本当は、そこにいるだけ、というのがとても重要なのだけど。

みんなの声に耳を傾けられるだけで素晴らしいんだけどな。

 

 

ほら、今だってそう。

僕はあなたの声に耳を傾けているでしょう?

自分の思いをぶつけるだけでなく、伝え合うってのはそういうことなんだよね。

 

 

ひとしきり話すと、彼女はまだ何かを言いたげに、教室を出ていった。

 

 

その子はとても手先が器用な子だった。

僕が教室の事務机に座っていると、小さな折り紙で折ったものを僕のところに持ってきた。

 

 

それがまた、とても小さな折り紙で、僕を驚かせた。

「すごいね、すごいね」って言うたびに、その子はいろんなものを作って持ってきてくれた。

そうそう、粘土細工も得意だったな。

 

 

そうやって、得意なことにフォーカスしてあげると、子どもの表情はパァ〜っと明るくなる。

ちょうど中学校3年生で、進路選びにはとても苦労した。

3者面談では、しゃべり続けるお母さんの横で、その子は小さくなっていた。

 

 

折り紙を見せにきたときのキラキラした表情はそこにはなかった。

だが、お母さんを責める気はなかった。

 

 

お母さんから感じたのは、彼と同じようなエネルギーだったから。

この連鎖が断ち切れたらいいのになって思う。

 

 

だれも悪くないんだよ。

 

 

子どもとつながる問いかけの魔法

子どもがうれしそうな表情を見せるのは、どんなときだろう?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。