ぜんざいは甘かったけど、部活動は甘くない!

部活動の試合で振る舞われたぜんざいの話

部活動の顧問をしていると、

けっこういろんな要望が来る。

 

 

赴任した学校には、

春に部活動保護者会なんてものがあって、

保護者の皆様とお話をする。

 

 

ちょっとおもしろかったのが、

ある年のことだ。

 

 

「先生、勉強の面倒を見ていただけませんか?」

 

 

僕は、「えっ?」っと思った。

家で全然勉強しないから、部活動で勉強の面倒も見てほしいというのだ。

 

 

さらに、「休みの日もフラフラしているだけだから、部活をやってほしい」と言う。

「テスト前なんて特にそう。勉強もしないでフラフラして」

「テスト週間も学校で勉強させてくれたらいいわよね」

 

 

だんだん雲行きが怪しくなってきた。

要するにテスト週間中は部活動がないので、休日も部員を集めて勉強会をしてほしいというのだ。

 

 

「ウチの子、反抗期で。くればやし先生の言うことしか聞かないし」

「そうそう、先生に電話するよ!って言うと大人しくなるの」

「ちゃんと親の言うことを聞くように指導してください」

 

 

俺はいったい、なんなんだ!

 

 

そんな勝手なやりとりが続いていた。

僕がまだ20代前半のころのお話だ。

  

 

僕は(困ったなぁ…)と思いながら、

ヘラヘラしているしかなかった(笑)

 

 

今でこそこんな人間だけど、

20代のころは可愛らしい新入社員だったのだ。

 

 

そんな若造が血に飢えた人妻20人ほどに囲まれている図を想像してほしい。

ヘラヘラしているのが精一杯だった。

 

 

すると、あるお母さんが一喝した。

「あんたたちねぇ、

 そんな先生に無理言ったらいかん。

 

 これだけ子どもの面倒を見てもらっておいて。

 感謝しないかんよ」

 

 

女神降臨!

 

 

僕は、黙って聞いていた。

一同、シ〜ンと静まり返った。

 

 

「まあ、これからも

 よろしくお願いいたします。

 えへへ…」

 

 

相変わらず、

僕はヘラヘラしていた。

 

そういえば、

この子たちの代から少しずつ

サッカー部らしくなってきたんだったな。

 

 

 

公式戦で保護者が応援に来てくれるようになったのもこの頃からだ。

それまでは、だれも応援に来なかった。

 

 

 

だが、過渡期というのは面白いものだ。

 

 

冬の公式戦、ハーフタイムに出てきた保護者からの差し入れは「ぜんざい」だった。

 

 

選手が小声で「先生、餅が喉を通りません!」と訴えた。

僕は指導した。

 

 

 

 

「よく噛んで食べなさい」

 

 

 

こうして、

餅を食べている間にハーフタイムが終わってしまった。

ちなみに、僕は後半の試合中、保護者から手渡されたお椀いっぱいの「ぜんざい」を片手に指導に当たったわけだ。

 

 

想像してみてほしい。

左手に「ぜんざい」、右手に箸を持ったサッカーの監督を。

 

 

子育てに迷ったときに出会いたい100の言葉

 差し入れは飲み物で♡

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。