ミスしたゴールキーパーの涙とリーダーの責任
先日、高校生になる長女のサッカーの応援に行ってきました。
彼女は小学生の頃からサッカーを続けています。
試合は公式戦で、人工芝のグラウンドでした。
時折、雨がパラつき、いわゆるスリッピーなグラウンドでした。
前半は互いに決定機のないまま膠着状態が続きます。
後半になってようやくゲームが動きました。
両チームとも控えがほとんどいません。
女子の高校サッカーは選手の確保も大変なようです。
それで相手チームは、ゴールキーパーが交代し、前半ゴールキーパーだった子はフィールドプレイヤーになりました。
ところが、後半から出てきたゴールキーパーの女の子は、あまりサッカー経験がなさそうな子でした。
ペナルティーエリアの外から蹴ったクロスボールは、ぬかるんだ人工芝で思わぬ方向に軌道を変え、彼女は後ろに逸らしてしまいます。
それをこちら側のチームが詰めて、ゴールにボールを押し込みました。
先制点です。
それで責任を感じてしまったのでしょう。
ゴールキーパーの子が泣き出してしまったのです。
それでも試合は続きます。
今度はカウンターアタックです。
ハーフラインから抜け出して、キーパーと1対1の場面になりました。
ゴールキーパーの女の子が思い切ってペネルティーエリアの外、つまりはゴールキーパーは手でボールを触ってはいけないエリアまで飛び出しました。
そして、次の瞬間、観客みんなが「えっ!」と声をあげました。
彼女が手でキャッチしてしまったのです。
思いっきりDOGSO。
本来であれば退場です。
でも、泣いているのを見た審判が不憫に思ったのか、イエローカードを提示しました。
その後も、キャッチしたボールを持ったまま、ペナルティーエリアの外まで歩いて行ってしまい、またハンドになりました。
一言で言えば彼女、ルールがまったくわかっていなかったのです。
前半は膠着した状態でしたが、後半はゴールキーパーがそんな状態でしたので、ディフェンスラインをまったく上げることができず、ワンサイドゲームになってしまいました。
ゴールキーパーの女の子はずっと涙を流していました。
この女の子は責められるべきではありません。
3年生にとっては、負ければ引退、最後の大会だったそうです。
きっと責任を感じているでしょう。
完全に指導者の責任です。
采配ミスです。
ちゃんと指導してあげれば、こんな展開にはならなかったでしょう。
僕は怒りすら感じました。
組織がうまくいかないとき、リーダーはうまくいかない原因を見つけようとします。
誰が悪いのか、誰に責任があるのか、そんな視点で集団を眺めてしますんですね。
この試合で言えば、「戦犯」はミスをした彼女なのかもしれません。
でも、彼女をあの場所に置いたのは指導者です。
指導も十分ではありません。
であれば、責任はすべてリーダーにあることは説明不要です。
これはわかりやすい例ですが、こういうことはどこの組織でも起こりうることだと思うんですね。
「この子にこの仕事をさせよう」と思うこと、僕にもありました。
(きっとできるだろう)と思って仕事を任せてみたけれど、思ったようにいかないことが幾度となくありました。
リーダーである僕は、少しだけイライラしました。
でも、そのたびにこう思ったんです。
任せたのは僕だから、責任は僕にあるって。
こういう気持ちが集団のリーダーには必要だと思うのです。
すると、リーダーの態度が変わります。
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