新しい価値観でチームを作ろう!

チームビルディング

トップダウンからボトムアップへ

ひとりのリーダーが先頭で旗を振り、

それに従ってみんながついていく。

そんなトップダウンのやり方が、

「これまでの時代」のやり方だった。

 

 

ところが今、

時代はトップダウンからボトムアップに

変わっている。

 

 

多様な価値観が認められる社会になり、

トップダウンでは成立しなくなったからだ。

 

 

ところが、

ボトムアップの意味を

履き違えている人は案外多い。

 

 

みんなで相談して決めたら、

それをボトムアップだと勘違いしている。

 

 

今回、

僕が展開した『子育て万博2018inあいち』。

実はこのイベントには、

ほとんど「打ち合わせ」というものはない。

 

 

役割分担もない。

指示もない。

 

 

これまで様々なイベントを手がけてきた人からすると、

かなり違和感のある作り方をしてきた。

 

 

つまり、

組織としての「きちんと」した部分が

存在しないのだ。

 

 

古い価値観で生きる人たちは、

「既成概念」に縛られて生きている。

 

 

組織図を必要とし、

当日の行程を準備し、

指示系統を明確にする。

 

 

だが、

そんなものは時代遅れだ。

 

 

では、

集団で事前に話し合って、

詳細を詰めておくことが、

なぜボトムアップではないのかも

書いておきたい。

 

 

集団で話し合って決めた構図になっているものは、

実は一部の「声の大きな者」の意見でしかない。

 

 

日本人特有の奥ゆかしさで、

ほとんどの者は意見など言わない。

 

 

意見を言わない者は、

同意したものと見なすという暗黙の了解。

 

 

多数決は少数意見を抹殺していく。

 

 

この「みんなで決めた考え」という名の

「一部の人の考え」は、

同調圧力を生む。

 

 

人物なきパワハラのようなもので、

非常なまでの強制力を発揮する。

それでは、トップダウンと同じなのだ。

 

 

そういうものは、

「これからの時代」には

フィットしない。

 

 

今回のイベントには、

子どもや出店者を含めるとスタッフは軽く100人を超える。

 

 

「あなたはこの仕事をして」

「あなたはこの時間にはここにいて」

 

 

そういうことを事前に決めておくことは、

一切しなかった。

 

 

こういった仕事の割り振りは、

その人のパーソナリティーよりも、

「仕事量の公平さ」が優先されてしまう。

 

 

すでに、

この発想が古い。

 

 

人にはそれぞれ、

ペース配分と置かれた背景の違いが

存在する。

 

 

特に今回のイベントのスタッフは、

ほぼ「お母さん」である。

 

 

子どもの年齢も様々だ。

子どものコンディションによっては、

仕事どころではないことも考えられる。

 

 

だが、事前に役割を決めておけばどうだろう?

その役割に縛られることになる。

 

 

泣いている子供を置いて仕事をしてしまうだろう。

遅れていけば、それを不満に思う人も出るだろう。

 

 

 

事前に何かを決めておくということは、

つまり構造的にはトップダウンとさほど変わらないことがわかる。

能力さや価値観の違いによって、軋轢も生まれやすい。

 

 

これが、

「これまでのやり方」が時代にフィットしていない

と断言する理由である。

 

 

では、どのようにしてボトムアップを

リアルに生み出せばいいだろうか。

 

 

その人がその人らしくいることが大事だよ

『子育て万博2018inあいち』に

参加した人はスタッフの生き生きとした姿に

驚いたと言う。

 

 

マルシェの出店者さんも、

「これまでいろんなマルシェに出店したけれど、

スタッフにこんな風に声をかけられたことなんてないです」

とおっしゃっていた。

 

 

僕らは、

「好きで得意で無理なくできること」

にフォーカスしている。

 

 

「やりたいことをやってください」

とお願いしている。

 

 

救護担当のまりちゃんは救護バックを携帯して、

会場でセッションを受けたり、

ワークショップに参加して楽しんだりした。

 

 

そこにいるだけで安心感をもたらしている。

「何かあればスマホで連絡するから会場で遊んでて」

これが彼女の仕事である。

 

 

受付を担当してくれるるみさんは、

じゅんちゃん や たかこさんと楽しそうに談笑していた。

 

 

「他の会場も交代で見にいってくださいね」

と話したら、

「ここでおしゃべりをしているのが楽しいの」

と言う。

 

 

それでOKだ!

 

 

「そろそろスタッフの弁当を運ばなきゃ」

と思っていたら、まちゃがサ〜っと弁当屋に走っていき、

にこやかに弁当屋を誘導していた。

 

 

その姿があまりにも爽やかで微笑ましかった。

彼女は元秘書さんで、僕が動こうとした先に必ず彼女がいた(笑)

 

 

まこっちの奥さんのるんちゃんは、

「歩くパワースポット」と呼ばれている。

 

 

そこにいるだけで、

場が丸くなる。

 

 

だから、そこにいるだけでOK。

こんな役割を役割分担表に書き記すことはできない。

 

 

みゆきさんとさやかさんとさおりさんは、

書籍や『子どもとつながるしつもんカレンダー』を

販売してくださった。

 

 

Facebookのやり取りを見て、

みんな以前からのつながりがあるのかと

思ったら、そうではなかった。

 

 

さおりさんはみんなと初対面だったらしい。

でも、それぞれがそれぞれのペースでつながって、

ある意味では組織ができあがっている。

 

 

だが、

それはスタッフチームを率いる僕が

「当てがったもの」ではない。

 

 

あくまでも、

皆が自然とつながって

できあがったものだ。

 

 

スタッフは時にマルシェの出店者の代わりに店番をしたりもする。

当日身内にご不幸があって

空いてしまった『魔法の質問カードセッション』コーナー。

長野のゆかさん、僕、まこっちが代わる代わる入って

セッションを行ったりもした。

 

 

 

足りない部分を補い合うことで、

全体が丸くなる。

そんなイメージである。

 

 

当日、お仕事があって

遅れて参加した さっちゃん や なっちゃん。

 

 

遅れてくると、

場に溶け込むのに時間がかかることがある。

組織として動くと、

「申し訳ない」が先に立ってしまい、

気持ちの面で遅れをとる。

 

 

だが、僕らの企画にそんなことはない。

そもそも役割分担などないのだから、

遅れてきたからといって問題はないし、

当日休んだからといって咎める者もいない。

 

 

「じゃあ、なっちゃんはエンディングの司会をやってね」と無茶振りしてみた。

オープニングの司会をした りさちゃんもそうだけど、

そもそも台本すらない。

 

 

「まあ、うまいことやってよ」

 

 

伝えたのはそれだけ。

つまり、そんなやり方でもイベントは成立するのだ。

 

 

大ホール、エントランスホール、セミナールーム3室、控え室2室を使い、市の施設全館を用いて開催した『子育て万博2018inあいち』。

実は、何も決めずに行っていたのだ。

 

 

その人がその人らしくあることを認める。

何かを決めることよりも、そちらの方が大切なのだ。

 

 

ボトムアップを成立させる3つの要素

この「何も決めない」というやり方を成立させる上で、

欠かせないことがある。

 

 

まず、スマートフォン。

 

 

事前にあらゆる物事を決めておく

トップダウン方式から脱却するためには、

即時にコミュニケーションが取れるスマホは

欠かすことのできないアイテムだ。

 

 

メッセージアプリを使い、

ヘルプを出す。

指示ではなくヘルプ。

 

 

「困っているから助けてほしい」

 

 

そんなヘルプだ。

すると、それを見た人が反応する。

手の空いている人が動くし、

気づいていない人に声をかける。

 

 

何かあったら「臨機応変」に対応するというやり方は、

結局うまくいかないことが多い。

 

 

常に状況に合わせていく形にしておいた方が

全体がスムーズに回っていくのだ。

 

 

常に現場合わせ。

そんなイメージが良い。

 

 

スマホがあるからこそ、

あらゆることは事前に決めておかなくても成立する。

決めていないからこそ、柔軟さが生まれる。

 

 

 

二つ目は、目的を共有しておくこと。

「このイベントが終わったとき、

どうなっていたら最高か」

を共有しておく。

 

 

僕らはゴールを設定しておくと、

そこに向かって進むようにできている。

 

 

僕らに共通しているのは、

「スタッフも来てくれたお客さんも笑顔になって帰ってくれたらそれでいい」

 

 

多少のニュアンスは違えど、

思いの重なる部分がある。

 

 

だから、その理念に従って、

自分の行動を選択していくことになる。

 

 

これが組織を作ってしまうと、

「お客様」よりも「組織」を優先してしまうことがある。

こんな経験は誰にだってあるはずだ。

 

 

僕らにはそれがない。

 

 

優先すべきは「個人の選択」である。

その人がその人らしくあることが何より尊い。

 

 

マイクを握りたい人は握ればいい。

ワークショップに参加したい人は参加すればいい。

おしゃべりしたい人はすればいい。

 

 

ただ、目指すところは同じだから。

ヘルプが出たら助けてあげよう。

ただそれだけなのだ。

 

 

組織というものがうまくいかないのは、

こういう精神が足りないからだと思う。

 

 

組織図を作り、

役割分担をはっきりさせ、

効率化を図る。

 

 

すると、

人間的な営みであるコミニケーションが分断され、

「一人ではないが孤独だ」という状態を生む。

 

 

組織としての目的と、

個人としての目的を

共有し統合しておく。

 

 

そういうことを忘れた組織は、

瓦解していくことになる。

 

 

僕が今回のイベントで大切にしたのは、

そんなところだ。

 

 

そして、最後は「根拠のない自信」を育んでおくことだ。

この「何も決めない」というスタイルに

違和感を感じた人、反発した人も多い。

 

 

「これまでのやり方」に縛られると、

「楽しさ」よりも「正しさ」が優先されてしまう。

 

 

「こうあるべき」「こうすべき」に縛られ、

その人がその人らしくあることが二の次になってしまう。

 

 

 

だが、

僕が昨年行った「県内8会場映画上映ツアー」に

スタッフ参加してくれたお母さんたちは知っている。

 

 

「くれちゃんは毎回何も決めない。

最初は戸惑う。

でも、結局うまくいくんだよね」

 

 

そういうことをみんなに伝えてくれた。

もちろん、その声が届いた人もいるし、

届かなかった人もいる。

 

 

それでいいと思う。

 

 

価値観をぶち壊すような言葉を、

人間は簡単に受け入れることなどできない。

 

 

イノベーションは体感を通して起こるものだ。

 

 

「すべてはうまくいくようにできている」

 

 

僕は何度も伝えている。

物事は収まるところに収まるようにできている。

「できる範囲」が百点満点なのだ。

 

 

私たちは大丈夫!

そんな根拠のない自信があるからこそ、

ボトムアップは成立する。

 

 

それがなければ、

責任の所在を明らかにし、

組織に依存する形になる。

 

 

いわば、

「みんなでイベントを作っている」という構図から、

「くれちゃんのイベントを手伝っている」という構図に変わる。

 

 

すると、

主体性なき人が増える。

割り当てられた仕事をこなすことに一生懸命になり、

処理のゆっくりな人は負担を感じ、

処理の早い人は不満を感じるようになる。

 

 

いかにして「ワタクシゴト」にしていくか。

これはチームを作るうえで大切なことなのだ。

 

 

 

チームを作る

大切なことは、「何をするか」ではない。

「誰とするか」である。

 

 

プロジェクトベースで集合と離散を繰り返す。

心地よいメンバーでチームを作れば、

あとは何もしなくてもうまくいくようにできている。

 

 

すでに、

『子育て万博2019inあいち』を開催することは決定している。

 

 

決定はしているけれど、

動き出すのはまだまだ先だ。

 

 

焦る必要はない。

必要な人とは、必要なタイミングで出会うことに決まっている。

来年もきっとうまくいくことを僕は知っている。

 

 

「信じている」ではなく「知っている」が正しい。

すべてはうまくいくようにできているからだ。

 

 

いかにして、

素敵なチームを作るか。

 

 

大切なことはこの1点である。

そして、すでに最高のチームとともにある僕に、

怖れるものはない。

 

 

 

これから先、

またいろんな人とご縁が生まれる。

 

 

そういった人たちを巻き込んで、

さらなる素敵なチームを作りたい。

 

 

人はすぐに「何をするか」にフォーカスしてしまう。

そして、「できるか、できないか」ばかり思考する。

最終的には「できない理由」を並べ、

「やらない」を選択する。

 

 

人生は、そうやって「やらなかった後悔」を

山のように積み上げて終焉を迎えるのだ。

 

 

だが、忘れないでほしい。

人生は「やるか、やらないか」だ。

 

 

そして、

やってみると、

ほとんどのことは「できる」。

 

 

だが、

挑戦することは怖い。

 

 

こんな僕だって怖い。

 

 

来年も『子育て万博』をやると決めた僕だけど、

今だって怖いよ。

 

 

でもね、

僕にはチームがある。

チームは僕に「根拠のない自信」を与えてくれる。

 

 

だから、

僕は僕のそばにいてくれる人たちにも

勇気を与えたいと考えている。

 

 

PLCカレッジ生の活動を応援するのも、

そんな思いからだ。

 

 

人生は遊び場。

この世界は自由自在に飛び回ることが可能だ。

 

 

組織を飛び出したことで、

本当の組織の在り方が見えるなんて、

なんという皮肉だろう。

 

 

生き方も働き方も時代にアジャストしていくことが大切だよ。

 

自分らしく生きるための魔法の質問

 本当に心地の良い場所はどこですか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。