一人じゃないけど孤独です。


ここ数年で僕らを取り巻く世界は大きく変わりました。

 

 

携帯電話の普及は、僕らをいつでも他者とつないでくれます。

携帯電話のなかった時代、「約束の時間」を守らねばならなかった。

遅れるわけにはいきませんし、ドタキャンだってできません。

 

 

最近は割とアバウトに約束できますよね。

急な予定変更もお手のもの。

約束をコントロールできる時代になりました。

 

 

お買い物だって、インターネットで注文すれば、すぐに必要なものが手に入ります。

お店だって、検索すればすぐに見つかります。

 

 

僕らは今、何もかもコントロールできる時代になりました。

とても便利な時代になったのです。

 

 

そう、「昭和の僕ら」から「現代の僕ら」を眺めると、気分は神様です。

いつだって誰とでも連絡ができ、必要なものは届けてもらえる。

どこに何だあるのかも自由自在に検索できる。

なんなら、仲間の動向すら確認できる。

 

 

もちろん、どこにいても、誰もが全世界に発信できる。

何もかもが自由自在です。

すべてをコントロールできるのです。

 

 

こうして、「便利さ」を手にいれた僕らは、同時に「不便さ」も手に入れました。

スマホを忘れただけで、急に原始時代に迷い込んだ現代人のように不安な気持ちになります。

 

 

「便利」が生まれると「不便」が生まれる。

そんなところもあるわけです。

 

 

さて、なんだってコントロールできる僕ら。

ところが、唯一コントロールできないものがありました。

それが「他人」です。

 

 

人間だけはコントロールできないのです。

 

 

 

だから、コントロールできないものを遠ざけてきました。

昔はみのもんたさんが一生懸命悩みに答えていた「嫁姑問題」。(笑)

 

 

核家族化に二世帯住宅。

関わる距離を遠ざけたことで、衝突は少なくなりました。

 

 

夫婦でありながら、対話ができなくなったり。

親子の会話が乏しく、孤食なんて現象も生まれました。

「引きこもり」などは、その典型かもしれません。

 

 

子どもたちは悩んだとき、目の前にいる人ではない「誰か」を頼ります。

リアルな人間ではなく、LINEの向こう側にいる「誰か」です。

 

 

もちろん、スマホの向こう側にはいるのは「人間」です。

でも、向こう側にいるのがA.I.でも構わないわけです。

そして、その「誰か」が気に入らなければ、一方的に打ち切ればいい。

 

 

その方が煩わしくなくていい。

人間関係はすべて、煩わしい存在です。

だって、コントロールできないんだもの。

 

 

学校現場もそうでした。

サーバーに情報やノウハウが蓄積されるようになると、教員同士の情報共有は少なくなりました。

 

 

「やり方」だけが伝承され、そこに込められたマインドは伝わっていかない。

そんなことが多くありました。

 

 

 

さて、僕らはコントロールできるものを増やし、コントロールできないものを遠ざけてきました。

その結果、僕らは孤独になりました。

 

 

人間は社会的な存在です。

他者と関わり合うことで、自己有用感は高まります。

本来、誰かに喜ばれることが人間としての喜びなのです。

これは、他の動物には見られない感情です。

 

 

ひと昔前、僕らの生活はコントロールできないものに囲まれていました。

天変地異に病。

 

あれもこれもコントロールできなかった。

コントロールできないことが当たり前でした。

この世界は不自由なもので、だからこそ関わり合うことで生きてきました。 

 

 

「つながり」が希薄になった現代社会。

人間らしくない事件が増えました。

人間社会が獣化している。

そんな感じすらするのです。

 

 

僕らは一人じゃない、でも孤独です。

もっと「つながり」を育みたい。

それが人間らしい在り方だから。

 

 

あなたに贈る魔法の質問

 どんなつながりを育みますか?

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。