心が折れやすい「私ってすごいんです」の人


やたら「私ってすごいんです」って話をする人がいる。

僕はその人の言葉にじーっと耳を傾ける。

 

 

いかに自分が素晴らしい人間であるかを滔々と語るのである。

決して自慢話ではない。

事実であるのだけど、何かが違う。

 

 

僕はこの人は何が満たされていないのだろう?と考えてみる。

やはり、「わかってほしい」なのだろう。

「認めてほしい」かもしれない。

「理解してほしい」のだろう。

 

 

本当に「すごい人」は、自分のことを「すごい人」とは言わない。

「幸せな人」がわざわざ「幸せ」とは言わないように。

言語に僕らは引っ張られるけれど、その奥にある「本当の姿」に目を届かせたい。

 

 

この、「私ってすごいんです」という人は、自己効力感が高い。

自分には素晴らしい能力があると信じている。

しかし、他者に認められたり感謝されたりする経験が乏しい。

 

 

 

自分に対して厳しく、失敗を許容できない。

だから、他者の失敗に対しても厳しくなる。

従って、意見の衝突も多くなる。

 

 

どこかで孤独を感じ、だからこそ、他者が耳を傾けたときには嬉々として「私ってすごいんです」という話をしてしまうわけだ。

 

 

能力がある。

だが、失敗に対する許容量が少ない。

いわゆる「遊び」の部分がないのである。

 

 

こういう人は、失敗に弱い。

能力があるため、失敗は恐れない。

そのうえ、失敗を受け止める余裕がないのだ。

 

 

うまく行っているうちは良いのだけれど、ひとたび転んだら、なかなか立ち上がれないようなダメージを受ける。

しなやかさがない強靭さは、実はポキリと折れる諸刃の剣なのである。

 

 

「私ってすごいんです」モデルの人に必要なのは「許される経験」である。

失敗を許される経験をさせてあげたい。

また、他者との協働作業や感謝される経験をするのも良い。

 

 

「私ってすごいんです」という話をただ聞くだけというのは避けたい。

これは本人を追い込むことになる。

大風呂敷を広げ過ぎて、今後の活動のハードルを高くしてしまうのは良くない。

 

 

話半分で聞いてあげれば良い。

余裕のない人なのだから、接する人こそ、余裕をもちたいところ。

間違っても、詰めてはいけない。

追い込む事になるのだ。

 

 

強い人を弱いということを心に留めておきたい。

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。