人間関係のすれ違いを引き起こす「今、思い起こせば、、、」という問題


「あのーぅ、、。今、思い起こせば、あのときね、私こう言われてショックだったんです」

 

 

えっ!?

 

 

今、言う?

 

 

 

こんな出来事にときどき出会う。

ずいぶん前の話を持ち出してきて、「あのときこんな気持ちでした」と言ってくる人たちだ。

 

 

もちろん言った張本人はすっかり忘れていて、言われた張本人は忘れてない。

そんなことはこの世界に生きていれば山ほどあるわけで。

 

 

問題は、この気持ちの処理方法である。

 

 

僕のようなタイプは、「今さら言ってもね」と考える。

あのときは確かに、こう言われて、もしくはこうされて、嫌な気持ちになった。

それは事実なのだけど、今さら言ったところで仕方がない。

 

 

わざわざ、終わった話を持ち出しても仕方がないわけで、「まーいっか」となる。

仮にこの人たちをタイプβと名付けよう。

 

 

一方で、気持ちをわかってもらいたいタイプの人たちもいる。

今さら言ったところで仕方がないのだけれど、あのとき感じた私の痛みをわかってほしい。

 

 

それで、終わった話を引っ張り出して、

「あのーぅ、、。今、思い起こせば、あのときね、私こう言われてショックだったんです」

と言う。

 

 

この人たちをタイプαと名付けよう。

彼ら彼女らは、とにかく気持ちをわかってもらいたいから、過去の話を持ち出してくる。

それはタイプβにとって「過去の話」であって、タイプαにとって「今の話」なのである。

 

 

どういうことだろう?

 

 

もう少しわかりやすく言えば、タイプβにとって「終わったこと」であり、タイプαにとっては「あれがあったから今がある」という話なのだ。

あのとき感じた気持ちからアップデートできていないことになる。

 

 

タイプαの話を聞いていると、「まだ言ってるの?」と思うことがある。

みんなが「もう終わったんだけど」と思っていても、このタイプの中ではまだ終わっていないのである。

 

 

さらに、タチが悪いことに、この「過去の出来事」はその後、たくさんのオプションを纏っていくことになる。

 

 

それはもう、一種の妄想なんだけど、「あれも嫌だった」「これも嫌だった」と付け加えて、物語がさらに悪い方向へと脚色されていく。

 

 

問題は、この脚色が、自分の気持ちをわかってもらうために行われることである。

いかに自分が辛かったか、自分が悲しかったか、つまりはどれほど相手が悪いかを表現するために、後付けで「あれも嫌だった」「これも嫌だった」と付け加えられていくことである。

 

 

タイプαに嫌われると、悪口がどんどん拡散されていく。

本人に悪気はないのだが、自分を正当化するためには、それが必要なのだから仕方がない。

 

 

なので、ここがポイントである。

 

 

僕はタイプαの話を聞くとき、事実と主観を分けて聞くように心がけている。

たとえば、「あの人はひどい人なんですよ」と言ったとする。

それで、その「ひどい人」の悪行を尋ねるわけだが、事実としてしたことは些細なことだったりする。

 

 

「でもね、先生、それがいつもいつもなんですよ」

 

「と言うと、365日、毎日なんですか?」

 

「いや、、毎日ではないです、、」

 

「じゃあ、実際にはどのくらい?」

 

「週に1回ぐらいです、、」

 

「最近だと?」

 

「2ヶ月ぐらい前に、、」

 

とだんだんボロが出る。

こうやって詰めるから、僕は嫌われるのだけどww

わかってもらいたいから、脚色してしまう。

これは決して嘘をついているわけではなく、あくまでも「わかってもらう」ための方策なのである。

 

 

僕も悪口を言われたことがある。

あのときはOKをしていたくせに、あれは本当はイヤだった、みたいな後出しジャンケンをされたりして。

とにかく相手を悪く言いたくなるのだ。

 

 

 

この「今、思い返せば問題」は人間関係にヒビを入れやすいので注意が必要である。

 

 

タイプαはわかってもらいたいけれど、タイプβにはその気持ちがわからない。

 

タイプβは(今さらその話をしてどうなるの?)と思うけど、タイプαにはその気持ちがわからない。

 

 

 

タイプαタイプβのことをを「冷たい人だ」と言い、タイプβタイプαのことを「面倒臭い人だ」と思うわけです。

さて、あなたはどちらのタイプでしょうか。

 

 

 

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それにしても人間関係は難しい。

すれ違ってばかりだね、まったく。

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」として人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・2018年~2019年 100人のボランティアスタッフをマネジメントして『子育て万博』を主催。

・2021年~2024年 パリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフのマネジメントを担当。

・経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムCrewDocks®︎を開発。企業研修など精力的に活動中。