部下や選手、児童生徒に「がんばります」と言わせていませんか?

悩んでいる営業マン

「がんばります」には注意が必要です。

部下や選手、児童生徒に「がんばります」と言わせてしまうマネジメントは、多くの場合うまくいきません。

 

 

銀行の方とお話をしていてnisa口座の開設を勧められたときのことです。

我が家のリビングで支店長さんと男性の若い担当者さんと融資の件で話をしていました。

この担当者さんがなかなか男前で、いかにもスポーツマンという感じの好青年です。

 

 

支店長さんが

「銀行も上からノルマを言われてまして大変なんです」

とおっしゃいました。

 

 

それで気になって、こんな質問をしたんです。

 

「ところで、そのノルマに対して、具体的に何をどうすれば目標が達成できるか、指示はありましたか?」

 

答えはノーでした。

実はこの高い「目標」を設定しながら、「目標達成のプロセス」は「みんな、がんばれ!」みたいな話、いろんなところで聞きます。

 

 

目標とプロセスはワンセットです。

 

 

たとえば、「名古屋から東京に行く」という目標を立てた場合、「新幹線」「高速バス」「飛行機」というルートがあり、ルートを決めたらチケットを予約するというタスクがあり、あとは駅やバス停、空港に足を運ぶことで目標は達成されます。

 

 

「プロセス」がはっきりしているから、みんなが「ゴール」に辿り着けます。

 

 

ところが、「ゴール」は設定するけれど、「プロセス」は「それぞれで考えましょう」ですと、「ゴールに辿り着ける人」と「ゴールに辿り着けない人」が生まれるのです。

 

 

問題は、「ゴールに辿り着けない人」はいつまで経っても「ゴールに辿り着けない人」のままだということです。

 

 

プロセスが明確であればそのプロセスに従って「行動した人」と「行動していない人」ということになりますから、上司は「行動していない人」の背中を押していけばいいことになります。

 

 

プロセスがはっきりしていないと、結局「もっとがんばりなさい!」と伝えるしかありません。

そして、部下もまた「もっとがんばります!」と答えるだけです。

 

 

そして、結果が出なくて叱られる。

「あー、パワハラだ!」と言われてしまう。

なかなか不毛なのです。

こんなの、マネジメントじゃございません。

 

 

マネジメントにおいて「目標(ゴール)」を提示することは大切なことです。

 

ただし、それは明確な「プロセス(すべきこと)」の提示が必要です。

 

 

「何をしたら目標を達成できるの?」をハッキリさせておきたいわけです。

 

 

nisa口座は1人1つしか作れないんだそうです。

でしたら、まず見込み客となる「nisa口座を持っていない顧客」のリスト化が必要でしょう。

そして、その人たちに対してどんなアプローチをするかを考える必要があります。

 

 

そういうことを通して、「これこれ、こういうことをやりますよ」が明確になって初めて、「みんなでがんばろう!」なのです。

 

 

「目標(ゴール)」が達成できたならば、そのことを労ったり褒めたりすればいい。

それは誰だってできることです。

 

 

問題は「目標(ゴール)」が達成できなかったときです。

叱っても何も解決しないし、「もっとがんばれ!」と言っても何も解決しません。

 

 

「プロセス(すべきこと)」をちゃんと経たかを確認します。

「プロセス(すべきこと)」を正しく踏んだかを確認します。

そして、できていない部分について、なぜできなかったのかを考えて、解消に努めます

 

 

「目標(ゴール)」は大事ですが、そこには必ずそこに至るための「プロセス(すべきこと)」があることを忘れてはいけません。

 

 

ちなみに、「御社では営業でうまく行ったときのノウハウとか、体験談みたいなのは情報として蓄積されていますか?」と尋ねたら、若い行員さんが教えてくれました。

 

 

成功事例を共有するシステムはあるそうです。

でも、書かれている内容は「みんなでがんばった」みたいなものが多いようです。

日本人は「がんばります」が好きですが、「がんばります」はだいたい成果につながりません。

 

 

何をいつまでにどうがんばるのか、具体的かつ再現性のある「プロセス(すべきこと)」にしておくことが必要です。

 

 

 

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くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。