「心理的安全性」とは人に甘いことじゃない。組織づくりには「厳しさ」が必要だ!

ホテルのフロント

「心理的安全性」という言葉がある。

失敗しても許容される、意見を言っても叱られない。

そんな組織だからこそ人はがんばれる。

 

 

Googleの研究でも「心理的安全性」が高いほど、組織の生産性はアップするのだそうだ。

それでそんな話を経営者さんとしていたら、「それじゃあ、社員にあんまり厳しいことを言えなくなっちゃうなぁ」と呟いた。

 

 

「厳しさ」とは何だろうか。

あなたはこの言葉をどう定義するだろう?

 

 

僕は若かりし頃、お世話になっていた先輩の先生にひどく叱られたことがある。

とあるハガキがある。

どんなハガキかと言うと、世の中には「選挙」というものがあって、「この人を推薦します」みたいなハガキである。

あんまりハッキリとは書きにくいけど、まーつまり、ノルマみたいなのがあって、友人を何人紹介しろ的なアレである。

 

 

正直、友人を売るみたいで嫌だったし、書きたくなかった。

んで、僕は出さなかった。

 

 

そしたら、取りまとめをしている先輩に呼び出されたわけだ。

「おい、ハガキ、書けたか?」って言われて、「誰を書いていいかわかりません」と答えた。

そしたら、「お前なぁ。仕事なんだから、ちゃんとやれよ」と叱られた。

 

 

まー、今思えば、別にそれは俺の仕事じゃねーよ、という話なのだが。

当時の僕は右も左もわからぬペーペーだったので、凹んだ気持ちになった。

 

 

まだ校内でタバコが吸える時代で、職員室前の灰皿の前でタバコを吸いながら、ちょっとだけ涙を拭った。

叱られるって、なんか嫌だ。

 

 

思うに、僕は大人になってから大人を叱る経験って、あまりない。

僕も叱られたくないから、人を叱るってあんまりしない。

ただ、言い方がきついので、叱ったつもりはないけれど、「叱られた」という感覚になる人は多いみたいww

それは本当に「ごめんなさい」って思う。

 

 

それで「厳しさ」って何かな、と考えたときに、この「タスク」や「ノルマ」の達成に対してシビアであるかどうかにあるような気がしたのだ。

 

 

たとえば、このハガキを出さない人に対して、「仕方がないなー、あの人は」という対応をすると、組織ってどんどん緩んでいく。

別に叱る必要はないのだけど、「必ずやらせる」みたいな、そこはブレないでやると、組織は締まる。

 

 

異動した先の職場で「働き方」についてのアンケートがあった。

「今週の水曜日までに必ず出してください」と養護教諭さんが言った。

 

 

アンケートを見ると、提出は週が明けて来週の月曜日になっていたので、「水曜日の〆切は早すぎない?」と尋ねたら、「みんな出してくれないんです」と囁いた。

案の定、水曜日にアンケートは揃わず、木曜日の朝も金曜日の朝も打ち合わせで「アンケートを出してください」と伝えていた。

 

 

提出物を期限内に出すという文化がないのである。

 

 

それで遅れちゃいけない提出物として、学期末には通知表というものがある。

当然だけど、終業式の日に完成させているわけではなく、数日前には管理職の点検も終えられて金庫に保管されている。

だから、「この日までに完成させなさい」という期限が設けられていたわけだ。

 

 

前日までに完成させた僕は、期限当日も悠々コーヒーを飲みながら自分の仕事に取り組んでいた。

職員室で席の近い若い先生たちも、自分の仕事に精を出していたので「若いのに偉いね。ちゃんと期限までに出せて」と言ったら、「いや、まだ出来てません」と答える。

当たり前のような顔をしてそう言うので、僕は目を丸くした。

 

 

「なんなんだ?この学校は」と思った。

で、翌日の朝の打ち合わせで管理職がこう言った。

 

 

「みんな通知表が出来ていないみたいなんで、明日まで期限を延長します」と。

空いた口が塞がらず、僕は天を仰いだ。

 

 

「いや、期限を守らせるのがあなた方の仕事でしょ」という話をしたら、「何をうるさいことを言ってんだ、この人は」という白い目が僕に集まってきて、僕はクラクラした。

緩い組織というのは、やる気のある人のやる気を削いでいく。

 

 

厳しさはやはり必要である。 

でも、それは「叱られる」という厳しさではない。

すべきことはちゃんとすることを求められる厳しさである。

 

 

 

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くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。