Performance Function型リーダーの落とし穴 ーPM理論で考える組織マネジメントー

PM理論

組織のリーダーはAmazonであることが求められます。

 

 

欲しい物を検索してポチッと押せば、すぐに自宅に配送してくれる、あのAmazonである。

誰もが一度はお世話になっているでしょう。

 

 

リーダーのタイプを示したマトリックス図。

縦軸に取ったPerformance Function。

チームが目標を達成するために、チームメンバーに行動を促すための行動を表しています。

 

 

横軸に取ったのはMaintenance Function。

チームのみんなの心のケアをする行動を指し示しています。

 

 

Performance FunctionもMaintenance Functionもどちらも得意な、右上に位置することが望ましい。

でも、そんなパーフェクトヒューマンはなかなかおりません。

 

 

右下に位置するのは、Maintenance Functionに長けたリーダー。

ここには落とし穴があります。

 

 

ある調査について、「いついつまでにやりなさい」という期限を設けました。

進捗の確認は行われず、僕は「大丈夫かな?」と思いましたが、期限までにはまだ十分ありました。

 

 

僕はさっさと課題は終わらせてスッキリしたいタイプですので、早めにやっておきました。

ところがどうでしょう?

 

 

チームメンバーはその仕事をやっている様子がありません。

日々の業務だって忙しいですから、仕方がないかもしれませんが、仕事は仕事です。

定められた期限までにやるべきことはやらねばならないのです。

 

 

ところが、当日になってもほとんどの人がその仕事ができていませんでした。

Maintenance Function型リーダーは、Performance Functionの部分が苦手です。

みんなのケアはするけれど、行動を促すことをしなかったんですね。

 

 

案の定、やるべき仕事をやってなかったんです。

そしたら、どうしたでしょうか?

 

 

「みんな、できてないみたいだから、明日まで期限を延長します」って言ったんです。

できていない人は「助かった〜♪」「優しい〜♪」って称賛しました。

 

 

おやおや、ちょっと待ってください。

ちゃんと期限までに仕事をした人たちは苦笑いです。

期限に間に合わせるために、忙しい合間をなんとかやりくりした人たちは、ムッとした顔をしています。

 

 

そりゃそうです。

その気持ち、よくわかります。

 

 

Maintenance Function型リーダーの落とし穴は、「できない人」に合わせてしまいがちなことです。

すると、できる人はやる気を失います。

 

 

なぜ多くの人が期限を守れなかったかというと、リーダーがそういう組織を作ってきたからです。

 

 

期限を守れなくても注意を受けない。

守れなければ延長してもらえる。

そんな経験を繰り返してきたことによって、その職場に長くいる人は皆、期限を守る感覚が失われてしまったのです。

 

 

期限を守ったのは、異動して間もない職員ばかりでした。

 

 

これがPerformance Function型リーダーであれば、期限までに提出させるためにあらゆる策を講じるでしょう。

ただし、個々の気持ちなど考慮しません。

忙しかろうが、家庭に問題を抱えていようが関係ありません。

 

 

「やれ」と言ったら「やれ」の一念で行動を促します。

できる人には「当たり前」ですが、できない人はただただ苦しい職場になります。

  

 

ですから、リーダーに求められるのはAmazonです。

どんなタイプの人もカバーする守備範囲の広さが求められます。

 

 

できる人も、できない人も、同じようにフォローする。

北は北海道から南は沖縄まで、最果ての離島も大都会も、ポチったら商品が届くAmazonのように、いろんなタイプをカバーしなきゃいけないのです。

 

 

でも、そんなこと、できますか?という話なんですね。

僕らはそんなにパーフェクトじゃない。

守備範囲があるんです。

 

 

だから、守備範囲外は他の人に助けてもらうのが良いのです。

結局、Amazonを目指しちゃダメよ、ということなんですな。

 

 

メルマガ登録

毎朝6時に「人間関係づくり」をテーマにしたメルマガをお送りしています。
↓↓↓画像をクリックして登録してくださいね。

メルマガヘッダーメルマガ登録はこちら

 

くればやし ひろあき

・株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

・フォロワー10万人の教育系TikTokクリエイター「くれちゃん先生」としても活躍中。人間関係や教育についての動画を配信

・1978年、愛知県生まれ。16年間公立中学校の教員として3,000人以上の子どもたちを指導。名古屋市内で最も荒れた中学校で生徒指導の責任者を務め、その後、文部科学省から上海に派遣され、当時世界最大の日本人学校であった上海日本人学校の生徒指導部長を務める。

・互いの「ものの見方や感じ方の違い」を理解し合うことで、他者に寛容な社会を実現したいと願うようになり、2017年独立。

・独立後は、教員時代の経験を活かし、全国の幼稚園や保育園、学校などで保護者向け講演や教職員研修を行う。2018年・2019年には、100人のボランティアスタッフを束ね『子育て万博』を主催。今年10月にパリコレクションのキッズ部門を日本に誘致して開催された『Japan Kids Fashion Week2021』において、全体計画及びキッズモデル・ボランティアスタッフ総勢150名のマネジメントを担当。

・2020年11月、「スタッフみんなが、明日も生き生きと来る!」を理念に、株式会社ミナクル組織研究所を設立。経営者、教職員、スポーツ指導者など、組織のトップや人を指導する立場の人たちから依頼を受け、人間関係づくりやチームづくりに関する講演や企業研修、教職員研修を行っている。経済産業省の事業再構築事業として人材分析システムを開発中。