相手の怒りにも自分の怒りにもブレーキを踏めるのが大人です。
人間関係をつくるために大切なこと。
その一つは、怒りを制御することです。
コントロールではありません。
制御です。
ブレーキを踏むことが大事です。
これ、アンガーマネジメント的に「自分の怒りを鎮める」という話ではありません。
自分の怒りも、相手の怒りも、どちらに対してもブレーキを踏む能力です。
僕はよく「イラッとしたよね」という話をするので、すぐにイライラする人、と思われます。
でも、会っていると、そんなにイライラした素振りを見せないので、穏やかな感じがします。
人間ですから、怒りを感じることは当然あります。
でも、それを抑えつけているわけではありません。
「あー、イラッとするなぁ」と思いつつ、それを味わって消化する感じですね。
ちゃんとイライラした気持ちは受け止めつつ、それを他人にぶつけないようにします。
表現にはブレーキを踏むんです。
僕らはそうやって社会生活を送っています。
一方、相手が怒っていたら、まずは刀を納めてもらうために謝罪します。
僕が悪いかどうかはどうでもいいんです。
そういう勝ち負けみたいなもので戦うことは避けます。
まずは「怒らせてしまった」という事実に対して謝罪します。
実際、大人同士ですから、「声を荒げるなんてのはどうよ?」という部分はとりあえず横に置いておきます。
刀を納めてもらわないと、話が次に進みませんから。
まずは怒りの制御からスタートするんです。
実際、学校の先生なんて仕事をしておりますと、苦情の「お怒りの電話」なんてのもあります。
なかなか理不尽な内容もあります。
「おい、コラ、校長を出せ!」みたいなノリの人もいます。
「とりあえず怒鳴っておけば相手はビビるだろう?」的な感じの人もいまして、まー別に僕はそんなことで動揺することはないのですが、一応相手に合わせて動揺した素振りを見せておきます。
はい、目的はただ一つ、「刀を納めさせること」です。
「喜怒哀楽が激しい」とか「感情的になる」なんて言葉は、大抵の場合「怒り」をコントロールできない人に用いる言葉です。
自分が感じている気持ちを丁寧に伝える力がないと、どうしても声を張り上げて怒鳴るような表現方法になってしまいます。
そういう表現しかできない人とコミュニケーションを取るときは、とても注意が必要になります。
感情的になってしまったり、自分の伝えたいことをきちんと伝えきることができない方は、やはりコミュニケーションに困難を抱えていると思います。
職場の中にそういう人がいて困っている、という話をよく耳にします。
リーダー側が怒りを制御できないと、部下の皆さんは本当に困ってしまいます。
何より逆鱗に触れないよう、顔色を見て仕事をするようになるんですね。
たとえば、先生が感情的だったら、生徒はのびのびとは過ごせないでしょう。
先日、息子が「今日は担任の先生の機嫌が良かったから学校が楽しかった」という話をしてくれました。
先生の機嫌ひとつで、学校の楽しさが変わるのはどうかと思いつつ、実際、職場でも家庭でも学校でも同じだよな、と思うわけです。
機嫌よくみんなが過ごしていてくれれば良い。
とりわけリーダーは機嫌よくいたいし、大人なのだから自分の機嫌は自分で取りたい。
感じた怒りを怒りとして表現してしまっては、リーダーとしては残念です。
自分の怒りを制御しつつ、他者の怒りも制御する。
これができると、人間関係は楽になります。